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佐藤愛子 じん帯損傷…敗者復活戦負け

[ 2008年8月12日 06:00 ]

女子57キロ級敗者復活3回戦で脚を負傷し、顔をしかめ痛がる佐藤愛子

 【北京五輪・柔道】ニッポン柔道が急停止した。昨年の世界選手権で銅メダルを獲得した2人が登場し、メダルの期待は高かったが、女子57キロ級の佐藤愛子(24=了徳寺学園職)は3回戦で敗れ、敗者復活最終戦でも一本負け。右ひざのじん帯を痛め、選手村内の病院に救急車で運ばれた。男子73キロ級の金丸雄介(28=了徳寺学園職)も初戦で左肩を亜脱臼した影響でメダルを逃した。

 敗戦のコールを聞いてから十数秒。ようやく立ち上がり畳を降りた佐藤は、そのまま担架に乗せられた。会場内の医務室に入った際、その目には涙が浮かんでいた。結局、救急車で選手村のメディカルセンターへ直行。「絶対に金メダルを獲りたい」と大きな夢を抱いた北京は、悪夢のようなエンディングを迎えてしまった。
 初戦開始早々に技ありを奪われたものの、得意の寝技で逆転。反対のブロックでは強豪が次々と敗れていたため、期待は高まった。しかし、3回戦の許岩戦では佐藤の背負い投げが偽装攻撃と判断され、指導2回で敗退。そして、敗者復活最終戦で相手の払い腰をこらえようとした瞬間、右ひざに大きな圧力がかかり、激痛とともに体が一回転。日蔭暢年女子監督は「右ひざの外側じん帯を痛めたようだ」と説明した。
 10キロ以上の減量を強いられていた52キロ級から57キロ級に転向後、秘められていた才能が一気に開花した。粘り強い立ち技と、世界屈指の寝技のコンビネーションに磨きがかかり、昨年の世界選手権も初出場で銅メダル。日蔭監督は「今回はライバルが次々消えて優勝のチャンスがあった。両手でしっかり組んで技を掛ければ問題なかったのに」と悔しがった。
 柔道は決して盛んではない北海道名寄市出身。筑波大進学で上京する際は、ポケットに2匹の亀を入れ、飛行機に乗ったエピソードを持つ。ゆっくりと、でも確実に前に進む姿は、そのペットと同様だった。初めての五輪で味わった苦難からも、ゆっくりと確実に立ち上がるはずだ。

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2008年8月12日のニュース