藤井正弘の血統トピック

際立つ「SS進化形」ヒーローの良さ

[ 2016年4月28日 05:30 ]

 ゴールドアクターは馬主である居城要氏の所有する北勝ファームで生産された実質的なオーナーブリード馬。血統のユニークさは目先の利益にとらわれない、ある意味で趣味的な馬産ならではのものといえる。

 障害で2勝を挙げた母のヘイロンシンも居城氏の勝負服で走った馬。その父キョウワアリシバは90年代のブームの先駆けとなった(外)で、朝日チャレンジC3着などオープンで活躍した。この母の父は後に3冠牝馬スティルインラブの叔父として一時的に注目を集めたりもしたが、結局、種付料無料で供用された97年度を含む実働7年の種牡馬生活で血統登録産駒26頭、うち繁殖牝馬として登録された産駒はわずか3頭にすぎなかった。

 ゴールドアクターの母系は3代母ブゼンフブキの代までさかのぼっても重賞勝ち馬が不在。前記した母の父を含めて極めて地味な血統なのだが、逆説的ながら母系の影の薄さによって「母の父サンデーサイレンス」初のG1サイヤーであり、サンデーサイレンス血脈の進化形ともいえる種牡馬スクリーンヒーローのポテンシャルが存分に引き出されたという見方もできるだろう。これは、少々時代遅れになりつつあった「メジロ牝系」から現れた同期のマイル王、天皇賞当日のチャンピオンズマイルに臨むモーリスにも当てはまる部分があるように思う。(サラブレッド血統センター)

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