藤井正弘の血統トピック

成長見込めるメジャー産駒の新種

[ 2016年4月7日 05:30 ]

 見下ろしの逃げで後続を圧倒したメジャーエンブレムのクイーンCは、1分32秒5のレースレコードもさることながら、最後までほぼ馬なりという視覚的なインパクトが強烈だった。これはタブロイド判桜花賞特集号にも書いたことだが、個人的には怪物オグリキャップのNZT4歳S(当時)を引き合いに出したくなったほどである。

 父のダイワメジャーは昨年、常勝ディープインパクトを破って種牡馬デビュー5年目にして初めて2歳チャンピオンサイヤーに輝いた。勝ち馬数39、勝利回数47、獲得賞金6億6843万6000円と、2歳リーディングであらゆる部門の自己ベストを塗り替えた第5世代は、種牡馬ダイワメジャーにとってのビンテージ世代。そしてメジャーエンブレムはその名の通り、父の大躍進を象徴する存在といえる。

 過去4世代のダイワメジャー産駒はクラシックに縁がなかった。仕上がりの早さの代償として成長力に欠ける面があったのは事実で、現3歳世代にも当然ながら2歳戦での大ブレークの反動を見込んでおく必要がある。その一方でメジャーエンブレムに関していえば、従来の父の産駒の類型をはみ出した“新種”である可能性大とも思う。クイーンCの走りでオグリキャップに思いをはせたのは、当時とは別の次元で、この先何度も机上の血統論の限界を突きつけられることを予感したからかもしれない。 (サラブレッド血統センター)

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