藤井正弘の血統トピック

6歳VS4歳 同世代ワンツーで決まる!?“ディープ産駒抗争”

[ 2015年10月28日 05:30 ]

 今回の天皇賞は現段階でフルゲート18頭のちょうど半分の9頭をディープインパクト産駒が占めることになる。前哨戦の毎日王冠は13頭中10頭がディープインパクト産駒だったのだから、頭数についてはさして驚くに当たらないのだが、特筆すべきは初年度産駒の7歳から3歳までの出走可能な現役5世代が余すことなく網羅されている点だ。

 秋の天皇賞における同一種牡馬産駒の最多出走記録は05年サンデーサイレンス産駒の10頭。天覧競馬として行われ、勝利ジョッキー松永幹夫現調教師の美しい所作も印象に残るレースは1着ヘヴンリーロマンス、2着ゼンノロブロイ、3着ダンスインザムードと、サンデーサイレンス産駒の“ワンツースリー”で決着したわけだが、この時は6歳馬が不在で3、4、5、7歳の4世代の出走だった。今回の種牡馬ディープインパクトの「5世代出し」は秋の天皇賞に限らず、恐らく国内G1で初のケースと思われる。

 ディープインパクトは6頭出しだった昨年、06年のサンデーサイレンス以来となるワンツーを決めている。さらに勢力を拡大した今年は、産駒の“世代間抗争”と割り切る手もあるだろう。ちなみに前記05年のヘヴンリーロマンスとゼンノロブロイ、06年のダイワメジャーとスウィフトカレント、そして昨年のスピルバーグとジェンティルドンナしかりで、過去10年の同一種牡馬産駒によるワンツーは、全て同世代の馬によるものだった。

 ひとまずディープインパクト産駒の“同世代ワンツー”を前提にした場合、世代単独エントリーの7歳ダコール、5歳ラストインパクト、3歳アンビシャスは対象から外れる。連覇に挑むスピルバーグ以下、ディサイファ、ヴァンセンヌの6歳勢VS前哨戦の優勝馬エイシンヒカリとショウナンパンドラにIコラム(中距離)のレーティング最上位(116ポンド)のステファノスが加わる4歳勢という構図だ。

 付け加えれば、05年のヘヴンリーロマンスは単勝14番人気、06年のダイワメジャーは4番人気、昨年のスピルバーグも5番人気と、人気面では伏兵的存在だった。基本的に“ワンツー”は荒れ相場、ということも押さえておくべきかもしれない。

 (サラブレッド血統センター)

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