藤井正弘の血統トピック

ジョシュアツリー、ゴールドシップ…血統的因縁馬に注目

[ 2013年11月20日 05:30 ]

 3年ぶり2度目の参戦となったジョシュアツリーの父モンジューとジャパンCの因縁については昨年の当コラムでも触れた。凱旋門賞でエルコンドルパサーを退けた最強ヒールとして来日した99年、1番人気で4着。結果的に史上最も豪華なアンダードッグとなってしまった現役時の悔恨を引きずるかのように、種牡馬としても昨年のマウントアトスまで延べ5頭の産駒を送り込んでいる。今回のジョシュアツリーは東京コースへの適応力を含めて能力的な底が割れており、大望は無理だろうが、ラストクロップとなる当歳を含め、いずれ、その執念が実を結ぶ可能性は残されている。

 もちろん、ジャパンCへのコンプレックスを抱えているのは外国馬だけではない。同配合オルフェーヴルに代わってジェンティルドンナとの血統的再戦に臨むゴールドシップもしかり。父のステイゴールドは98年から4年連続出走して10→6→8→4着と、得意のシルバーコレクトはおろか、馬券に絡むことさえできなかった。母の父メジロマックイーンにとっては現役生活21戦で最低の入線順位(91年4着)を記録したレース。DNAに刻み込まれた苦手意識とどう向き合うかがポイントだ。

 アドマイヤラクティの父ハーツクライは、05年ジャパンCで2分22秒1の超絶レコードを叩き出したアルカセットの同タイム2着に惜敗している。一方、母の父エリシオは前記モンジュー同様、最新の凱旋門賞馬として参戦した96年にシングスピール、ファビラスラフインの後塵(こうじん)を拝し、ストラテジックチョイスと3着同着に甘んじた。血統表の上では「2、3位連合」が成立しているわけで、既に“2代制覇”を達成したディープインパクトには、そのジャパンC渇望度が脅威となるだろう。

 少々間接的な遺恨を抱えているのがアンコイルド。祖母のトリプルクロネが87年、前哨戦の富士Sで伝説の“ワープ走法”を決めながら本番では不発(4着)に終わった女傑トリプティクの全妹なのである。蛇足ながら父ジャイアンツコーズウェイのネーミングは、巨人伝説で知られる英国の奇景に由来する。JRAコラボ企画の“進撃のジャパンC”には、まさにハマり役の血統と言えなくもない。(サラブレッド血統センター)

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