藤井正弘の血統トピック

ディープスカイ 自己主張強いタキオンの理想的後継馬

[ 2013年7月31日 06:00 ]

 【新種牡馬紹介(3)】

 ◆ディープスカイ 05年生 栗毛 浦河産 中央で17戦5勝 主な勝ち鞍はダービー、NHKマイルC、神戸新聞杯、毎日杯 2歳産駒82頭。

 08年のJRA賞最優秀3歳牡馬。初勝利に6戦を要した地味な存在だったが、四位騎手とコンビを組んだデビュー9戦目の毎日杯で覚醒し、NHKマイルC→ダービーの“変則2冠”を爆発的な末脚で制した。秋初戦の神戸新聞杯も内容は完勝だったが、菊花賞には向かわず、天皇賞・秋3着、ジャパンC2着と、異世代のトップホース相手に善戦。ちなみにウオッカVSダイワスカーレットの歴史的名勝負にクビ差で続いた天皇賞のレーティング119は、同年の皐月賞馬キャプテントゥーレの114を5ポンド上回るもの。前記神戸新聞杯とジャパンCでは菊花賞馬オウケンブルースリに先着しており、世代での傑出度は限りなく3冠馬に近い水準に達していた。

 アグネスタキオンの上級馬には珍しい叩き上げ型で、4歳夏の宝塚記念まで重賞12戦連続で馬券に絡んだピークの長さも父の産駒としては異彩を放つ。この血統のウイークポイントを全て克服した完成形であり、その意味でも理想的な後継種牡馬といえる。自身の3代母ミスカーミーを父チーフズクラウンと共有(ミスカーミー3×4)するという母アビのインブリードは、ノーザンテーストやデインヒルといった大種牡馬に見られる配合パターン。1代置いた息子にも強力な遺伝力が伝わった可能性は十分にある。産駒の出足の鈍さは現役時同様で、これは自己主張の強さの証明と解釈したい。種牡馬としても真価発揮の舞台は東京コースだろう。(サラブレッド血統センター)

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