藤井正弘の血統トピック

存在感示したい“第三極”サイヤー ロブロイ、ジャンポケ

[ 2012年12月19日 06:00 ]

 今年の有馬記念にはディープインパクト産駒のエントリーがない。牝馬3冠+ジャパンC制覇のジェンティルドンナは別格として、デビュー3年目にして総合リーディング奪取が確定的なネオ・モンスター最大の弱点はピークの持続力。それは一年を締めくくるグランプリで最も重要な資質でもある。ちなみに“先代”サンデーサイレンスの有馬記念初勝利は種牡馬デビュー8年目、01年のマンハッタンカフェだった。中山芝2500メートルという舞台設定も含め、もともと種牡馬の統計的パワーバランスが反映されにくい、極めて特異な立ち位置のG1であることの証といえるだろう。

 一方、ディープインパクトに王座を明け渡したキングカメハメハは昨年同様、ルーラーシップ、トゥザグローリー、ローズキングダムの同世代トリオを送り込む。“年度代表馬サイヤー”の称号をディープインパクトに譲ることが濃厚なステイゴールドも、オルフェーヴルを温存しながら、なおゴールドシップ、ナカヤマナイト、オーシャンブルーの3頭出し。それぞれに最後の大一番で仮想敵に一矢報いる構えだが、種牡馬単位の視点からは、それ以上にチェックしておくべきなのがゼンノロブロイ、ジャングルポケットの2頭出しだ。

 ゼンノロブロイは現在リーディング14位、ジャングルポケットは16位。どちらもランキングの上では明らかな退潮モードで、ここで来季の種付けシーズンに向けて存在感を示しておきたい。シンボリルドルフ→トウカイテイオー以来、レース史上2度目の“2代制覇”が懸かる前者の産駒は、上がり馬ルルーシュとアメリカ帰りのトレイルブレイザー。5年続けたG1勝ち記録が途切れるピンチに追い込まれた後者は、中山巧者ダイワファルコンと古豪オウケンブルースリでラストチャンスに挑む。朝日杯FSでは公称種付料20万円のローエングリンが2頭出しで大仕事をやってのけたばかり。

 追い風はにわかに“第三極”サイヤーに吹き始めている。(サラブレッド血統センター)

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