藤井正弘の血統トピック

“準レギュラー的”モンジュー産駒の執念

[ 2012年11月21日 06:00 ]

 ジャパンCにおける外国招待馬の優勝は7年前のアルカセットが最後。ワンツーとなると、中山コースで行われた10年前のファルブラヴ→サラファンまでさかのぼらなければならない。もはや外国馬というだけで拒絶反応を示す向きもあろうが、2年前に招待馬最先着の9着に入線したシリュスデゼーグルは、後に欧州古馬戦線で無双クラスまでの出世を遂げている。古い例を挙げればガリレオ、シーザスターズの母として今や歴史的名牝に数えられる存在となったアーバンシーは93年、レガシーワールドが優勝したジャパンCに参戦(8着)していた。馬券的な取捨はさておき、長いスパンで“OB”を見守るのも国際招待競走ならではの楽しみだ。ちなみにエイシンフラッシュの母の父プラティニも前記アーバンシーと同じ93年、ドイツ代表として4着に入線していた馬だ。

 国際レーティング118で並ぶ英国代表のジャッカルベリーとマウントアトスは、どちらも父にジャパンC出走歴がある“OB”2世。現在、日本で供用されている前者の父ストーミングホームは、前記最後の外国馬ワンツーとなった02年に15着と大敗を喫した。今週の京阪杯で重賞初制覇を目指すサドンストームらの現3歳が国産初世代だが、まずは在外時の看板産駒がリベンジに挑むことになる。

 この春、16歳で没した後者の父モンジューは、エルコンドルパサーを退けた凱旋門賞から間髪を入れずに来日した99年、1番人気の支持を集めながらスペシャルウィークの4着に敗れた。種牡馬としては07年、08年と2年連続で出走したペイパルブル(7、14着)を皮切りに、10年ジョシュアツリー(10着)、11年サラリンクス(12着)と、毎年のように産駒を送り込む準レギュラー的存在となっている。あるいは世界で最もジャパンCに執念を燃やした馬、と言えるかもしれない。能力的に勝つまでは厳しそうなマウントアトスだが、今回はちょっぴり肩入れしてみたい気がする。(サラブレッド血統センター)

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