藤井正弘の血統トピック

“最高評価”香港リトルに中山適性

[ 2012年9月26日 06:00 ]

 香港の俳優が領土問題の影響で日本のテレビドラマへの出演をキャンセルする意向を示したそうだが、とりあえず競馬の世界での国交は極めて正常かつ円滑。今年もアジア圏最大のライバルであり友好国でもある、かの国から最強クラスのスプリンターが“上陸”してきた。英雄ロケットマンの雪辱を期すシンガポールのキャプテンオブヴィアスを含め、武器を持たないインベーダーは大歓迎である。

 現在3連勝中のリトルブリッジは、今回の出走予定馬の中で日本馬を含めた最高プレレーティング(120ポンド)を持つ。その評価対象レースが英G1キングズスタンドSであることは、3年前に最高レーティング(122ポンド)を引っさげて来日し、しんがり負けに終わったシーニックブラストと同様。買いかぶれない面があるのは確かだが、この馬の場合、安田記念で2年連続して善戦(09年6着、10年5着)したサイトウィナーと同じファルタート産駒という点で、間接的ながら日本の芝コースへの適応力は見込める。ちなみに、母の父の父ハンティングデイルのブルードメアサイヤー、ハンターコムは、86年の皐月賞馬ダイナコスモスを出した日本のクラシックサイヤー。さらにハンティングデイルの父ダブルフォームのブルードメアサイヤーは、84年、当時の京王杯AHで芝1600メートルの日本レコード(1分32秒9)を樹立したヨシノエデンの父でもあるクロケット。このあたりにも中山コース攻略のかすかな血統的よりどころは求められるだろう。

 ラッキーナインは通算3度目の来日。スプリンターとしての性能は昨秋の2戦で示した通りで、2歳違いの半弟サドンストームがセントウルSで小差5着、3歳違いの半弟ティーハーフも函館2歳Sで3着と、牝系単位で日本のスプリント戦における経験値を積み上げている。プレレーティング118ポンドはシンガポールのキャプテンオブヴィアスと横並びだが、数値の信頼性はこちらが一枚も二枚も上とみておきたい。 (サラブレッド血統センター)

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