藤井正弘の血統トピック

【高松宮記念】ハーツ産駒に潜むコース適性

[ 2012年3月21日 06:00 ]

 上半期の短距離王決定戦に生まれ変わった96年から一昨年までの15回。高松宮記念はスピードだけでなくコーナリングと密集馬群をさばく「技」を競うG1でもあった。だが、リニューアル中京の売り物は大回りになったコーナーと、約100メートル延伸され、さらにアップダウンによる負荷が加わった直線コース。小回りで直線は短くほぼ平たん、という旧中京コースの独自性を全否定した改造が施された以上、蓄積された過去の血統データもリセットしておく必要があるだろう。

 ちなみに先週末までの6日間で33レースが行われた「新装中京芝コース限定リーディングサイヤー」は、3勝+ファルコンS2着のレオンビスティーなどで5609万9000円を稼ぎ出しているサクラバクシンオー。02年優勝馬ショウナンカンプを出した実績は新コースでもひとまず信頼できそうだ。今回はエーシンダックマン、ダッシャーゴーゴー、アグネスウィッシュ、サンダルフォンの4頭出しとなる。 

 賞金順は3084万円で5位ながら、勝利数ではサクラバクシンオーの上を行く最多4勝を挙げているのがハーツクライ。岡崎特別(500万下)のマリアビスティー以外の3勝は未勝利戦なのであまり目立たないが、コース替わりで潜在能力が引き出されたサンプルには違いない。 

 母の父に“東京のトニービン”を持つハーツクライは、左回りで直線の長いナドアルシバ競馬場でドバイシーマクラシックを圧勝し、東京コースでも2大G1(ジャパンC、ダービー)で連対を果たした。同様の大箱に様変わりした新装中京コースに打ってつけの属性を伝えても不思議ではない。京都1200メートルでは同期ロードカナロアに2戦2敗のハーツクライ産駒ツルマルレオンだが、潜在的コース適性に逆転の望みは残されている。(サラブレッド血統センター)

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