藤井正弘の血統トピック

【有馬記念】出るか!?全きょうだい同一G1制覇の離れ業

[ 2011年12月21日 06:00 ]

 父ステイゴールド、母オリエンタルアートという血統のオルフェーヴルは周知の通り、一昨年の優勝馬ドリームジャーニーの全弟。あるいはオルフェーヴルの全兄が一昨年の優勝馬ドリームジャーニーだった、と書くべきだろうか。いずれにせよ、今回のグランプリ最大の血統的興趣が、レース史上初の「兄弟制覇」にあることは間違いない。 

 有馬記念に優勝馬の弟(妹)が出走するのは、オルフェーヴルの母の父でもある第36回(91年)2着のメジロマックイーン(第32回優勝馬メジロデュレンの弟)、第46回(01年)9着のトウカイオーザ(第38回優勝馬トウカイテイオーの弟)に続いて3頭目。くしくも「兄弟制覇」のチャンスは10年周期ということになる。20年前、圧倒的1番人気で伏兵ダイユウサクの強襲に屈したメジロマックイーンの悔恨は、同時に逃した「兄弟制覇」を母の父として達成してようやく払しょくされるのかもしれない。 

 ちなみに逆パターンとなる兄(姉)に「有馬記念2着以下の馬」がいた優勝馬は、第31回(86年)のダイナガリバー(第27回13着カズシゲの弟)、第39回(94年)のナリタブライアン(第38回2着ビワハヤヒデの弟)、第53回(08年)のダイワスカーレット(第51、52回3着ダイワメジャーの妹)、そして昨年のヴィクトワールピサ(第51回12着スウィフトカレントの弟)。唯一ニアミスと言えるのはビワハヤヒデ&ナリタブライアンの「パシフィカス・ブラザーズ」だ。 

 同じ母馬から生まれた「きょうだい」による同一G1(級)レース制覇は、今年の阪神JF、ブエナビスタ&ジョワドヴィーヴル姉妹によって記録されたばかりだが、父馬まで共通する「全きょうだい」というプレミア付きなると、82年、84年に天皇賞・春を制したモンテプリンス&モンテファスト兄弟(父シーホーク、母モンテオーカン)が最後。四半世紀以上も実現していない血統的離れ業であることを付け加えておきたい。(サラブレッド血統センター)

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