藤井正弘の血統トピック

藤井氏 ダイスカの妹が打倒ウオッカ!

[ 2009年5月12日 06:00 ]

 【藤井正弘の血統トピック】
 06年に創設されたヴィクトリアマイルは国内で最も歴史の浅いG1だが、わずか3回のレース結果からも明確な血統的傾向が見て取れる。サンデーサイレンス父系が圧倒的に強い、ということだ。
 第1回はダンスインザムード→エアメサイア→ディアデラノビアの“直子”によるワンツースリー、第2回は後継種牡馬のフジキセキ産駒コイウタが優勝し、同じく後継種牡馬ロイヤルタッチ産駒のアサヒライジングが2着、3着が直子のデアリングハートだった。昨年もフジキセキ産駒のエイジアンウインズが圧倒的人気のウオッカを抑え込み、3着にはアドマイヤベガ産駒ブルーメンブラットが食い込んでいる。つまり、父系2代前までにサンデーサイレンスの血を持たない馬が馬券の対象となったケースは、昨年2着のウオッカのみなのである。
 NHKマイルCはサンデーサイレンス産駒が勝てなかった唯一の芝G1であり、安田記念も延べ35頭目の出走だった07年のダイワメジャーが今のところ最初で最後の勝ち馬。東京1600メートルの大レースには明らかに苦手意識を見せていたサンデーサイレンス血脈が「牝馬限定」という条件下ではまさに水を得た魚なのも不思議なのだが、ともあれ、血統データ的にはサンデーサイレンス父系重視というスタンスが必要になってくる。
 今回、サンデーサイレンス父系の馬で出走ラインをクリアしているのは8頭。実績的にエース格はエリザベス女王杯勝ちのリトルアマポーラだろうが、注目しておきたいのはザレマ、ジョリーダンス、ブーケフレグランス、ムードインディゴの“4頭出し”(他に出走順位20番目にレインダンス)となるダンスインザダーク産駒だ。中でもブーケフレグランスは、前記ダイワメジャー、そしてダイワスカーレットの妹にあたる超エリート牝馬。東京1600メートルG1の血統的コース実績は魅力だし、女傑ウオッカとの初顔合わせは、姉がミクロの差に泣いた昨秋の天皇賞の血族ぐるみのリベンジマッチでもある。良血開花には格好の舞台設定といえるかもしれない。(サラブレッド血統センター)

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