「約束 ~16年目の真実~」手がける読売テレビ・多鹿雄策氏 若手注目プロデューサーのこだわりと挑戦

[ 2024年4月20日 10:00 ]

中村と横山の顔の向きにもこだわったキービジュアル
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 4月期ドラマが続々とスタートしてきた中、11日に放送開始した女優中村アン(36)主演の日本テレビ系ドラマ「約束 ~16年目の真実~」(木曜後11・59)は、深夜帯ならではの“静”が際立つサスペンスとして話題を呼んでいる。第1話は、TVerで同枠ドラマ史上最速タイで100万回再生突破を記録した。脚本は完全オリジナルで、16年前に猟奇事件に巻き込まれ父が逮捕された女子高生が、父の無実を証明するため刑事として故郷に戻り真相に迫る物語だ。

 プロデューサーの読売テレビ・多鹿雄策氏(31)は、2021年からドラマ畑へ異動し、同局関係者からも「異例」とするスピードと若さで連続ドラマを担当する注目の若手テレビマンで今作が2作目のプロデュース。そんな多鹿氏が本紙取材に、ドラマ制作のこだわりや志したきっかけなどを明かした。

 多鹿氏は「ボクの殺意が恋をした」「探偵が早すぎる 春のトリック返し祭り」でのアシスタント・プロデューサーを経て、昨年4月期の「勝利の法廷式」で連続ドラマのプロデューサーデビューを果たした。こだわったのは原作モノではなく、オリジナル作品にすることだった。理由は「初の作品をオリジナルで完走するのは難しいと聞いていたので、あえて挑戦したかった」と明かした。

 そこで、忘れられない興奮や感動を味わったという。それは、最初の台本読みと撮影初日のこと。「0から作り上げたオリジナルの登場人物に演者さんが声や動きを与えてくれた時にものすごい感動が押し寄せたんです」と声のボリュームを上げた。多鹿氏にその感動をもたらしたのは「勝利の法廷式」の主演を務めた志田未来(30)だった。

 「もちろん原作ドラマの良さもあります」とするも、2作目の企画提出時も「やはりオリジナル案の方が数が多く、熱量も入ってました」とオリジナルへの強いこだわりを口にした。そして今作の企画が通った。「勝利の法廷式」は全話を通した物語の軸がありつつも1話完結型だったが、今作は1クール通した物語。「今回は全編通して続く物語を描いてみたかった」とさらなる挑戦を続けている。

 ドラマ制作を志した背景には、前部署でマーケティング業務を行っていた経験があった。

 神戸大大学院で電子工学を学び、2017年に入社。技術職希望だったが、マーケティングの部署へ配属となり、視聴率やSNSに関する分析を担当した。特にSNS分析を強みとし、SNSを用いたドラマプロモーション施策にも携わるようになった。

 そこでドラマの反響がSNS上で大きく広がっていく様を目の当たりにし「自分でも作れたら幸せだな」と感じ、制作側になることを意識した。今作のようなサスペンスを手がけたのは、TBSドラマ「アンナチュラル」に影響を受けたとするも「“サスペンスとSNSの相性が良い”と感じた実体験もあります」とマーケティングならではの視点もあった。

 制作においても、マーケティング業務経験に基づく視聴者視点を活用。「番組作りの経験が少ないですが、視聴者視点で一度立ち止まってセオリーを考えるようにしています」とし「だからこその挑戦もしています」と話した。

 例えば、第1話終盤で葵(中村)と香坂慧(横山裕)が対峙(たいじ)する場面で流れる音楽。「セオリーなら盛り上がるバトル系のBGMですが、“静”の世界観を強調するために静けさのあるBGMにしました」とこだわった。また、公式HPにあるキービジュアルも「メインの演者さんの顔は正面向きにすることが多いですが、あえて角度をつけてました」と明かした。その上、反対に向いていることで、「疑い合うバディ」という印象を視聴者が抱きやすくなっている。

 異色の経歴を持ち異例の若さとスピードでドラマプロデューサーとなった多鹿氏。取材中は何度も「挑戦」という言葉を口にした。強いこだわりや思いを持って作品に向き合う姿は今作の主人公・葵にも通ずる部分がある。事件の真相解明へどのような物語を展開していくのか、そして、この先もどのような作品を生み出していくのか。その活躍から目が離せない。

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