小栗旬 「小栗旬という役者は、この数年で死ぬんだよ」衝撃的な言葉の真意とは

[ 2022年5月3日 22:00 ]

小栗旬
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 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)の主演を務める俳優・小栗旬(39)に400日間に及ぶ取材を敢行した同局のドキュメンタリー「プロフェッショナル 仕事の流儀 小栗旬スペシャル」(総合、後7・30~8・42)が3日に放送され、「小栗旬という役者は、この数年で死ぬんだよ」と自身の俳優人生の現在地を赤裸々に語る場面があった。

 「撮られたくないものはない。聞かれたくない質問もない」。2020年12月にスタートした取材の初日、小栗はこう言い放った。その言葉通り、稽古場から移動の車中までカメラをすべて受け入れた。

 年下の和田侑平ディレクター(32)がカメラを回し「小栗旬という役者の髄」を探ろうと大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の撮影現場に異例の密着。「(今の小栗旬を撮っても)おもしろくないよ」「自分がないんだよ、たぶん」「プロフェッショナルが、なぜ(大河の主役として)ここに今いるのか、教えてくれよ」。弱音を吐き、和田Dの質問に対してはぐらかし続ける日々。しかし、NGなしの真剣勝負の中で少しずつ2人の距離が縮まっていく。そんな中でのやりとりの中で小栗から衝撃的な言葉が飛び出した。

 「小栗旬という役者は、この数年で死ぬんだよ」

 密着取材後半、和田Dが「(演技中、撮影を通して)小栗さんの肉薄した部分、髄を探りたいと思って密着してきて、果たしてクランクインしてから今まで髄に触れている部分があるのかどうか」と思いを打ち明けた。すると小栗は「それでいうと、ないかな」としつつ「逆に言うと、どういう時にキリキリできるのか教えてほしい、俺は。30歳手前までは毎日キリキリしていたけど、30歳超えてから今日までキリキリすることが本当になくなっちゃって、だから今の俺に期待しないでくださいって言葉しか和田くんにはかけられないわけ。小栗旬が出てくれたらOK。その小栗旬をそんなに傷つけずに作品を終わりましょうねってっていう現場が増えてきたのも事実。そうすると俺の居場所はないわけよ」と堰を切ったように39歳の俳優・小栗旬が感じている思いを話し始めた。

 「そうすると俺って死んだんだなって思う。小栗旬って役者は、たぶんこの数年で死ぬんだよ。だけどそんなことがこういう場所でしか最近言えなくなった自分っていうのも悲しいし。(昔は)どこでも言ってきたし、だからこそ闘ってきたんだけど。でもこれをどんどん言えなくなってる自分が、やっぱり世の中に負けているんだっていうことを物凄く今の俺は痛感してる」と衝撃的な言葉で和田Dに思いを打ち明けた小栗。

 和田Dは小栗旬という役者は今も何かに飢えていると感じ「もう希望はないんですか」と問いかける。小栗は「その希望を信じるために大河ドラマっていうものに入った」と今回の大河ドラマの主役を演じる俳優としての希望、覚悟を語った。

 誰かに人生の何かを変えたり、一瞬でも華やかにしたり、明日への希望を感じてもらうためには「俺たちの何かを削らないと、どっか1カ所でも…と思ってやってきたよ一生懸命。それでも“芝居が下手だ”とも言われるし“あいつ何だ”とも言われるけどそんなの別にどうでもよくって。でもそのぐらい誰かの人生の1ページになるってことは俺たちの人生の数ページを削らなきゃいけないんだよ」と熱いマグマを噴き出した小栗。

 密着した大河の撮影現場スタッフ200人超の名前を覚え、常に誰かのためにエネルギーを注ぎ込む男。そんな男が座長として現場を引っ張る「鎌倉殿の13人」からますます目が離せない。

 今回、400日間に及ぶ取材の本当の最後に仕事に対する胸の内を語った小栗。自身にとっては2007年11月のTBS「情熱大陸」以来、約15年ぶりの長期密着番組となった。

 【鎌倉殿の13人】ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演。

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