シンガー・ソングライターMANAMI、癒やしボイスとギターで福島と全国をつなぐ

[ 2020年5月8日 07:00 ]

音楽で福島を元気づけるMANAMI
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 福島県福島市出身のシンガー・ソングライター、MANAMI(27)は県内で精力的な音楽活動を続けている。テレビのCMソングを書き下ろし、ラジオのパーソナリティーも務め、先月18日には3枚目のシングル「ばあちゃんっ子」をリリースした。ポップなメロディーに透き通る歌声を乗せて、福島と全国の“架け橋”となる。

 ギターを手に、おうち時間を過ごした。3月から今月までのライブが中止、延期となり、MANAMIは楽曲制作に励んだ。「普段の活動よりも生きるためにモチベーションが上がっている。応援してくださる方に応えたい」。依頼を受け、自宅で歌を収録して提供する「あなたのためだけに歌います」プロジェクトを始めるなど、可愛らしい“おかっぱ頭”の中からは、どんどんアイデアが湧いてくる。

 MANAMIの楽曲はメッセージ性が強く、「良くも悪くも芯が強い」。実際の体験などを基にした飾らない歌詞を、美しいギターの旋律とともにナチュラルな声で歌い上げ、聴く人の心をつかむ。新曲の「ばあちゃんっ子」は心温まるノスタルジックな曲で、福島市が制作した動画にも採用された。「大好きなおばあちゃんとのかけがえのない時間を、歌に残したいと思った。決して前向きな歌詞ではない。でも、お涙ちょうだいでもない。それぞれ優しい気持ちが広がっていく歌です」と話す。

 「暗黒の時代」という東京での2年間が、MANAMIの原点だ。高校1年から音楽活動を開始し、県内の音楽コンテストではグランプリなどを受賞し、一躍有名人となった。夢を抱え、12年に上京。だが、路上ライブでは罵声を浴び、警察には怒られるなど東京の洗礼も浴びた。同時に福島駅の地下連絡通路で一緒に活動していた同じ福島市出身の片平里菜(27)が、メジャーデビューしてヒット曲を連発すると、心が折れた。音楽を諦め、東京都江戸川区のスーパーで約2年間働いた後、14年に帰省した。

 音楽活動を再開したMANAMIを、地元は温かく迎えてくれた。「離れてみて福島の大切さに気付けた。最低を知っているから、それ以下がない。私にできることを地道にやっていきたい」。福島と悔しさのおかげで、“自分らしさ”を思い出した。

 だからこそ、故郷にこだわった歌を作り、故郷から音楽を届ける。「福島が好き。自分らしくいられるのも福島。愛する地元に根付きながら、発信してみんなを福島に呼び込みたい。私をきっかけに何かが福島につながってくれればと思っています」。癒やしボイスとギター一本で、福島と全国をつなぐMANAMI。「これからも楽しく自分のペースで音楽をやっていきます」と自然体は変わらない。(近藤 大暉)

 ○…MANAMIが中心となり、「Jimobako~想いをかたちに~」プロジェクトもスタートした。福島にゆかりのあるミュージシャン27組がオムニバスアルバムを制作し、その売り上げを休業中の県内のライブハウスに全額寄付する。「私たちには一銭も入らない。力になりたいという思いしかない」と音楽の発信地となるライブハウスに恩返しする。今月2日から注文受け付けが開始し、随時発送を行っている。

 ◆MANAMI(まなみ)1992年(平4)6月2日生まれ、福島市出身の27歳。16歳から音楽活動を始める。トヨタカローラ福島や酪王カフェオレのCMソングを手掛け、KFB福島放送「ヨジデス」、福島交通飯坂線応援ソング、玉川村PRソングなど多くの楽曲を提供する。ラジオ福島やふくしまFMにも出演。先月18日には新曲「ばあちゃんっ子」をリリース。最近ハマっていることはゲーム「あつまれ どうぶつの森」。血液型はO。

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