「真田丸」新章突入 毎週ヤマ場 家康に敵わぬ…三成の焦燥感

[ 2016年8月14日 11:00 ]

大河ドラマ「真田丸」で石田三成を演じる山本耕史。三成は徳川家康との対立を深め、焦燥感が色濃くなる(C)NHK

 俳優の堺雅人(42)が主演を務めるNHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)は、14日放送の第32話「応酬」から“新章”に突入する。ドラマ全体を春夏秋冬に例えると「秋」。制作統括の屋敷陽太郎チーフプロデューサーが見どころを語った。

 第1話から第13話の「上田編」が「春」、第14話から第31話の「大坂編」が「夏」。第31話「終焉」は小日向文世(62)の熱演が話題を呼んだ豊臣秀吉の最期を描いた。

 「秋」は山本耕史(39)演じる石田三成と、内野聖陽(47)演じる徳川家康の対立が深まる。第32話「応酬」は有力大名による政権運営が始まり、三成と家康は宴を開いては自分の陣営の大名を増やそうと躍起に。加藤清正(新井浩文)や伊達政宗(長谷川朝晴)は家康に傾き、三成の形成は不利になる。

 「秋」のハイライトの1つとして、屋敷氏は「秀吉を失った後の三成の焦燥感、歯がゆさ」を挙げる。秀吉の右腕として政権運営を担い、冷静な判断でテキパキと指示を出していた三成だが「秀吉亡き後は自分の運のなさ、力量のなさに、もがき苦しみます。いろいろな歯がゆい思いの中で、彼なりの正義を通そうとするんですが、どうしても家康に敵わない。結局、家康の方が一枚も二枚も上手なんですが、三成が滅んでいく姿は見どころです」と解説し「山本さんの演技が素晴らしく、その様子が見事に表れています」と絶賛した。

 そこに、堺演じる真田信繁はどう絡むのか。「いかに家康と決別し、いかに三成を支えていくか。その信繁の姿も注目どころです。前回(第31話)、信繁が秀吉から最後に言われたのは『頼む…佐吉(三成の幼名)を…。支えてやってくれ。寂しい男でな』。もちろん、信繁は秀吉への恩義もあるんですが、それ以上に三成という人の性格に惹かれていったという(脚本の)三谷(幸喜)さんの描き方だと思います。すごく納得のいくセリフでした」と振り返り、大坂編が伏線になっているとした。

 三成の焦燥感を描くに当たり、工夫した点については「三成VS家康で有名なのは関ヶ原の戦いですが、そこに至るまでの細かい過程を重視したというところです」と強調。「第一次上田合戦の時も、三谷さんが合戦に至る準備を綿密に書いてくださっているから合戦のシーンが生きるんです。どうして三成と家康に距離感が生まれたのか。それぞれにどういう思惑があり、すれ違いに結び付いたのか。そこを細かく丁寧に作っていったのが今回の見どころです」とした。

 その意味で、真田目線から描く三谷氏の筆致は変わらない。「信繁なら、きっとこういうことを目撃したんじゃないか、という政治的対立を描いています。政治の決定事項が公になる前の、いろいろな話し合いを、おもしろく分かりやすく書いてくださっているのが三谷さんの首尾一貫しているところなんです」。真田家が2つに割れる犬伏の別れ、再び徳川軍と相まみえる第二次上田合戦、天下分け目の関ヶ原の戦い、そして父・昌幸(草刈正雄)とともに蟄居を命じられた信繁の九度山(和歌山県)生活。「夏」は北条家の滅亡、秀吉の最期などが2~3週単位で描かれたが、「秋」からは毎週のようにヤマ場がある。一瞬たりとも、目が離せなくなりそうだ。

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