球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

アストロズ本拠の“名物”撤去も弱小球団改革の一環

[ 2015年6月21日 05:30 ]

 アストロズのホーム球場、ミニッツメイド・パークの“名物”が来季から姿を消す。中堅フェンス前に高く盛り上がった巨大なマウンドのような「タルの丘」と、そこに立つフラッグ・ポールを取り払うと球団が発表した。このグラウンド内の障害物、選手には大不評だったが、球場誕生の2000年以来の売り物、撤去決断が遅れていた。

 丘と旗竿の撤去はジム・クレーン・オーナーが決定した。2012年、チームを買収したオーナーには前オーナーが作った小細工の“名物”が引っかかっていた。「プレーする選手に危険なこと。ファンの観戦の妨げになること。大リーグ最高の球場にしたいこと。それが撤去の理由」とジェフ・ルノーGM。

 そもそもこの売り物、他球団のものまねだ。「タルの丘」はレッズの2代前の本拠球場、クロスリー・フィールドの左翼フェンス前が球場外を流れるオハイオ川の河岸段丘の名残で中堅まで延々と盛り上がっていたのを模倣した人工物。「タルの丘」としたのはア軍でGMなどを34年務めファンの人気も高かった名フロント、タル・スミス氏の功績を称えた命名だ。スミス氏を首にした前オーナーのファンへのご機嫌取りくさかった。

 グラウンド内の旗竿は、旧タイガースタジアムの広い外野のフェンス際に立っていたのをさらに内部に入れ、誇張してまねた。アストロズは新球場人気の厚化粧が必要だったのだ。障害物を取り去った中堅は大リーグ最深の132・6メートルから125メートルに狭める。

 カージナルスからITチームづくりの名人ルノーGMを迎え、大胆なチーム改革を任せて3年目の今季、6年連続負け越しチームは首位を走る。来季は本塁打の魅力も加えようとの野心的計画なのだ。 (野次馬)

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