球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

キューバと国交正常化…一流はMLB、残り物は日本

[ 2014年12月21日 05:30 ]

 オバマ大統領が、半世紀も国交が断絶していたキューバとの関係を「正常化したい」と表明した。その2時間後、大リーグ機構(MLB)は「事態の進展を注視する」、大リーグ選手会は「良き発展を望む」と短いコメントを出した。素早い声明発表に関心の高さがのぞいた。

 今季のキューバ生まれの大リーガーは25人。大リーグのドラフトを避けるため第三国に亡命後、FA扱いで全球団と自由に交渉し、年俸10億円規模の長期大型契約を結ぶ選手が続出している。これに不満だったキューバからの亡命者の多いフロリダ州議会では、亡命仲介業者の助けで“ドラフト逃れ”し、売り込む選手に規制を設けるようMLBに申し入れた。

 折からドジャースのヤシエル・プイグ外野手の亡命に関わった仲介業者が数億円規模の脅迫容疑で裁判中だ。第三国から迂回(うかい)して大リーグ入りする亡命選手の背後の闇の解明は大きな課題だ。MLBと選手会の声明は、すぐにも獲得競争を始めかねない球団を「キューバとの商取引はまだ違法。抜け駆けするな」と抑える意味もあったようだ。

 しかし、メディアは先走る。キューバに各球団が野球アカデミーを設立すると、ドミニカ共和国で起こった学業放棄した青少年がアカデミーに殺到し、教育制度を揺るがした問題の再発が心配。キューバのファンは、MLBのオフの冬に行われるキューバ国内リーグへの地元大リーガーの出場を望むだろう。球団はそれを認めるのか。タンパで客の入らないレイズが本拠地をハバナに移すのでは…と数々の課題を指摘した。

 MLBは2017年から国際ドラフトを目指すが、日本にも影響が出る。一流選手は大リーグ、その残りが日本だ。 (野次馬)

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