球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「ゲイ」差別撤廃へ米社会の手本目指すセリグ改革

[ 2014年7月27日 05:30 ]

 マッチョ社会の大リーグで選手が「自分はゲイだ」と宣言するのは難しい。他の競技でも同様だ。NBA、NFLでは“カミング・アウト選手”の契約が更新されず、引退状態となるケースが報じられる。現役大リーガーでカミング・アウトの選手はいないが、バド・セリグ・コミッショナーは、1980年代後半の6年間タイガース、ドジャース、パドレスでプレーした元外野手ビリー・ビーン氏(50)を同性愛者差別問題に対応する大リーグ機構(MLB)コンサルタントに任命した。同性婚が多くの州で認められつつある動きのなか、MLBがスポーツ界での同性愛差別撤廃の先頭に立とうというのだ。

 ビーン氏が「自分はゲイだ」と明らかにしたのは通算打率・226を残して引退した後の95年。「若い選手が周囲に理解されない秘密を抱えてプレーするのは非常に難しい。家族にもチームメートにも隠しているそのつらさ…。ベストの道として引退を選んだが、辞めて初めて自分がどれほど野球を愛していたかが分かった」

 引退後のビーン氏の「好きな野球をあきらめた自分と同じ苦労を若い選手にさせたくない」という同性愛者支援の15年にわたる地道な活動にコミッショナーが目を付けた。「大リーグは黒人差別撤廃でジャッキー・ロビンソンとともにアメリカ社会に偉大な貢献をした。今後も全ての人を平等とする手本にならねば」。薬物汚染選手への罰則強化、プレーオフ試合の増設、ビデオ判定の拡大など、来年1月の引退を前にセリグ改革は急ピッチ。今度のコンサルタント制度も、選手協会の支援をバックによき置き土産になりそうだ。  (野次馬)

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