球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

Rソックスに助けられたヤンキースの皮肉な展開

[ 2013年7月28日 06:00 ]

 ヤンキースは、ワイルドカードでのポストシーズン進出争いに四苦八苦。苦戦に渋い顔のフロント陣に先週、珍しく笑みが浮かんだ。ライバルのレッドソックスがダスティン・ペドロイア二塁手と15年から7年1億ドル(約99億円)で延長契約を済ませたおかげという。

 ヤンキース直近の課題は、オフにフリーエージェント(FA)になるロビンソン・カノ二塁手の引き留め。話し合いは難航している。選手の契約は他球団の同ポジション、同程度の実力選手の契約に影響される。ヤンキースが注視していたペドロイアの契約は想定範囲に収まった。これでカノとの交渉がやりやすくなり、笑顔になったということらしい。

 カノの要求はアレックス・ロドリゲス(Aロッド)の10年2億7500万ドル(約272億2500万円)並み、と報じられる。しかし、カノとペドロイアは、年齢も3割台の打率も高い守備力もほぼ同じ。カノが長打力で勝るが、ペドロイアは強力なリーダーシップがあり、甲乙つけがたい。

 ペドロイアの新平均年俸1429万ドル(約14億円)がベスト二塁手の値として設定され、カノがこれを超えても倍額は難しい、ともっぱらだ。FAで売り出す策もあるが、獲得球団はドラフト上位指名権放棄を嫌い、手を挙げる球団が少ないのがトレンド、危険な賭けになる。

 ヤンキースの金満政策が嫌われたのは他球団の選手年俸まで高騰させたからだが、ライバル球団にヤンキースが助けられる皮肉な展開になった。

 もっともカノ、球団ウィン・ウィンの筋書きもある。薬物問題でAロッドが1年出場停止なら年俸28億円、永久追放なら97億円をカノに回せると言うのだが…。

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