球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

GMが無休で補強していた時代が懐かしいヤ軍

[ 2013年4月14日 06:00 ]

 MLB公式サイトでア・リーグ東地区の優勝をヤンキースとした記者は20人中1人もいなかった。緊縮財政で大補強がなかったためだろう。

 ヤンキースは高額FA買い入れを控えたばかりか、2億ドル(約198億円)超に膨れ上がった年俸総額を2年かけて1億9000万ドル(約188億1000万円)以下に圧縮すると言う。一定額の年俸総額を超えると徴収される「ぜいたく税」のチームへの課税率が最高税率50%に迫る。そこで免税限度額以内に年俸総額を抑え、課税率を下げ、2015年から再投資との長期計画。

 FA補強の手控えは、有望選手がFA資格を得る前に長期契約で抑えるチームが増え、市場に有力FAが出なくなった状況もある。加えてドラフト補強への影響だ。大物FAを獲得すると、その補償でドラフト上位指名権を譲り、残る下位ドラフト指名選手の契約金総額も低く制限される。

 新労使協約で生まれた金権補強へのこんな“逆風”に対応したのが緊縮財政策だった。経営判断として間違っていない。

 しかし、毎年加わるスターに慣れたファンやメディアには面白くない。叩かれたのがブライアン・キャッシュマンGMだ。スカイダイビングで足首を骨折した。「ボス」と呼ばれ恐れられた先代のジョージ・スタインブレナー・オーナーの下では考えられない軽率な行動。チーム全体が緩んだ証拠、「GMが休暇なしでスターを買い集めた昔が懐かしい」と厳しい。

 MLB公式サイト以外でも「スポーツよりビジネスの優先」とヤンキースのメディアでの評価は一様に低い。「キャリアの最後をワールドシリーズで」と残留したイチローと黒田の夢の行方が気にかかる。 (野次馬)

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