球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

防護ネット延長問題 沈黙守る事故球団ヤンキース

[ 2017年10月1日 10:30 ]

ヤンキースの本拠地ヤンキースタジアム
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 10日前、ヤンキースタジアムで幼い女の子の顔にライナーが当たって入院した。翌日にはレッズ、マリナーズ、パドレスの3球団がベンチの外野側の端まで防護ネットを延長すると発表した。

 大リーグ機構(MLB)が2年前に出した防護ネットのガイドラインはバックネットからベンチのホーム寄りの端まで、という控えめなものだった。ボックス席の観客に配慮したのだ。それがヤ軍の事故をきっかけに防護ネット延長路線は決定的な流れになった。今ではネット延長を発表する球団が続出している。

 ところが、事故球団のヤ軍は沈黙のまま。ニューヨーク・タイムズ紙はヤ軍のランディ・レバイン球団社長に電話したが「ネットに関する話はしない」との一言で切られたと報じた。ロン・トロスト最高執行役員は、7月に新ヤンキースタジアムを設計した事務所とネット延長について会議を持った、と話した。8月、球団サイトに「真剣に検討中」と出たのがネット問題の最後の報だ。

 ヤ軍が困っているのは確かだ。MLBがネット・ガイドラインを示したとき、ヤ軍は「高額のボックス席所有のファンから問い合わせが殺到した。検討中というだけで抗議がある。複雑な問題が起こる」。事故後のボックス席ファンの動向はどうだったのか。ファンから球団に連絡はあったのか。球団として聞き取り調査をしたのかどうか。球団は一切明らかにしていない。

 ニューヨーク市議会では今月下旬にヤンキース、メッツ(防護ネット延長済み)の関係者を呼び公聴会を開く予定という。大リーグの全球場が日本の球場並みにバックネットからファウル・ポールまで防護ネットが張られるのはいつになるのだろう。 (野次馬)

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