日本ハム・伊藤しんがり1勝“先発侍”唯一白星なかった男が5戦目に チーム今季初3連勝導く7回1失点

[ 2023年5月3日 06:00 ]

パ・リーグ   日本ハム7-1西武 ( 2023年5月2日    ベルーナD )

<西・日>7回、山川から三振を奪い吠える伊藤(撮影・白鳥 佳樹)
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 登板を翌日に控えた1日。日本ハム・伊藤は、宿舎のベッドでなかなか寝付けなかった。この一戦で勝利を挙げられるか、不安が襲った。もがき苦しんだ末に、今季5度目の先発で初白星だ。

 「“この腕がちぎれてもいい”という、それぐらいの気持ちでマウンドに上がった。今日やっと、ぐっすり寝られると思います」

 勝てない日々に頭を悩ませたが、解消するには練習しかなかった。ブルペンに入るのは週1回が通例だが、「不安があるなら投げておこう」と約40球を投じた前日も含め、中6日の間に4日連続でブルペン投球を敢行。先発投手としては異例の調整だが、それだけこの日に懸ける思いは強かった。

 その調整が奏功し、球威も取り戻した。直球の最速は150キロ。スライダーよりも体の開きを抑えられるという100キロ台前半のカーブを多投し、緩急を使って7回4安打1失点。侍ジャパン先発投手陣で唯一白星がなかった右腕が大トリを飾り「(ブルペン4連投で)体はぼろぼろでしたけど、何とか気持ちで粘れた」と胸をなで下ろした。

 4月25日オリックス戦で5回途中6失点。新庄監督は、この日の内容次第では先発ローテーションの剥奪も示唆していた。背水の陣で愛のムチに応え、チームを今季初の3連勝に導いた右腕に「マウンドさばきもテンポも脱力感も(良かった)。気持ちを入れ替えてくれた」と称えた。

 同29日には新球場・エスコンフィールド北海道でともにWBCの世界一を北海道から表彰された栗山監督にも「こういう時期は必ず誰しもくるから、焦らずに」と背中を押された。周囲に支えられた1勝。「気にかけてくれた人たちに良い連絡ができる。まだまだ(借りを)返せていないので、次も頑張ります」と伊藤。“ラスト侍”の逆襲が、ここから始まる。(田中 健人)

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