伊東勤氏 52号の落合さんとヤクルト・村上の共通点は“逆方向に打てること”と“ボールを振らないこと”

[ 2022年9月7日 05:10 ]

セ・リーグ   ヤクルト8―6阪神 ( 2022年9月6日    甲子園 )

<神・ヤ>6回、村上はソロ本塁打を放つ(撮影・後藤 大輝)
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 【伊東勤氏 視点】村上の52号はベルト付近の高さだったとはいえ、外角いっぱいの際どい球。完璧にバックスクリーン左に運んだ。凄みを感じた。

 一発を避けるために阪神バッテリーは村上をうまく攻めていた。2回の第1打席では内角を中心に攻め、最後も内角寄りの高め直球で空振り三振に仕留めた。第2打席でも初球と2球目は内角球。内角を意識させる伏線を張り、第3打席に外を攻めたが村上には通じなかった。踏み込んで中堅左へ。こんな打撃をされたらバッテリーはお手上げだ。

 52号は落合博満さん以来。3度目の3冠王を獲った86年まで5年間、マスク越しに対戦した。村上とは左と右、体格も打撃スタイルも全く違うが、共通していることが2つある。“中堅から逆方向にホームランを打てること”と“ボールを振らない”ことだ。52本を打った85年、西武は落合さんに打率・387、12本塁打とカモにされ、狭い川崎球場の右翼方向にはかったように打ち込まれた。村上もどの球場でも逆方向に一発を打てる。

 落合さんは際どいボールを振ってくれなかった。どうしてもカウントが苦しくなり、甘くなったところを痛打された記憶がある。村上も同じ。自分のカウントに持ち込み、甘い球を確実にホームランにしている。フォア・ザ・チームに徹してヒットも狙う。こういう打撃ができれば、3冠王の可能性は高いとみている。(スポニチ本紙評論家)

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2022年9月7日のニュース