阪神 “青柳無双”交流戦MVP見えた!8回零封でついに防御率0点台突入も「あんまり実感ない」

[ 2022年6月5日 05:30 ]

交流戦   阪神3―0日本ハム ( 2022年6月4日    甲子園 )

<神・日>7回無死、万波を三振に仕留め、笑顔の青柳(撮影・平嶋 理子) 
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 阪神は4日、日本ハム戦で3―0と今季6度目の零封勝利で4連勝を飾った。先発の青柳晃洋投手(28)が、8回4安打無失点の快投で両リーグトップタイの6勝目をマーク。防御率も0点台に突入した右腕は今季、パ・リーグ相手にここまで2勝、計16回2/3で自責点0と抜群の安定感を継続しており、球団史上初の交流戦MVPをはっきり視界に捉えた。チームは3カード連続の勝ち越しを決め、4月8日以来の1桁借金9。交流戦も2位に浮上した。

 奇策や秘策も、この男の前では無と化してしまう。青柳が“ビッグボス野球”を完全沈黙させる快投。猛虎の新エースとして相手ベンチに絶大なる存在感を見せつけた。

 「警戒しながらやってたんですけど。(相手に)動きがなかったので打者と勝負した。調子は良くなかったけど誠志郎の配球で打ち取れたのが多かった」

 3日は満塁でのヒットエンドランなど次々と作戦を敢行してきた敵軍に対して、むしろ“仕掛けた”のは青柳の方だ。無走者でもクイック投法を交え、ボールを持つ時間の長短も使い分けて、打者を幻惑。状態が悪い中で唯一、操れたシンカーを多投するなど好投した。5回まで4安打も連打は許さず、6回からの3イニングは1四球。全く隙を与えなかったパフォーマンスにビッグボスも「開幕してから一番、手が出なかった。面白い作戦をすることなく終わりましたね」と脱帽した。

 勝利数、最高勝率などリーグ3冠をキープした中でも、防御率は8回先頭の石井を中飛に仕留めた瞬間、0点台に突入し最終的に0・98まで良化。「数字にしたら凄いと思いますけど、僕の中では長いイニングを投げるとか、1試合をちゃんと投げたい。あんまり実感ない」と意識はしなかったが、2リーグ制以降では伝説の名投手・村山実が1970年に達成して以来となるシーズン0点台にも期待がかかる。

 球団史上初のタイトルにも手をかけた。交流戦ではここまで2勝、計16回2/3を投げて2失点(自責点0)の防御率0・00と同一リーグとの対戦と同様にパ・リーグ相手にも無双。昨年はオリックスの山本が3勝、防御率1・23で奪取した交流戦MVPも見えてきた。

 次回登板が予想される11日のオリックス戦でその山本と投げ合うことが濃厚で「球界トップのピッチャーと投げることは自分にプラス。頑張りたい」と早くも闘志を燃やした。

 今季最多の観衆の前で演じたマウンドでの勝利の舞い。コロナ下で無観客試合も経験し「正直、緊張感が保てない」と漏らしたこともある背番号50は、言葉を弾ませた。「僕の投げる試合で満員が久しぶりだった。やっぱり阪神ファンは素晴らしい」。渾身(こんしん)の118球で聖地を幸福感で満たした。(遠藤 礼)

 ○…青柳(神)が8回無失点で6勝目。今季の8試合はすべてクオリティースタート(先発6イニング以上、自責3以下)で、さらに6試合が8イニング以上を自責1以下と、打たれる気配を感じさせない。防御率0.98は5月6日、中日戦時点の0.76以来4試合ぶりの0点台。まだ前半戦ではあるが、仮に規定投球回を満たしてシーズン防御率を0点台で終えれば70年の村山実(神)0.98以来52年ぶり、2リーグ制以降2人目の快挙になる。

 ○…防御率0点台は1リーグ時代の1943年藤本英雄(巨)0.73を筆頭に9人が11度達成(1リーグ10度、セ1度)。阪神の投手では前出村山のほか、景浦将が36年秋0.79と37年春0.93の2度記録。ちなみに21世紀のトップは田中将大(楽)の11年1.27。セは前田健太(広)の12年1.53。

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