エンゼルス・大谷、“飛ばないボール”お構いなし2戦連発の特大8号 進化物語るバレルゾーンの打球

[ 2022年5月17日 02:35 ]

ア・リーグ   エンゼルス4-1アスレチックス ( 2022年5月15日    オークランド )

<アスレチックス・エンゼルス>初回、2試合連発となる先制の8号2ランを放つ大谷(撮影・光山 貴大)
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 止まらない――。エンゼルスの大谷翔平投手(27)は15日(日本時間16日)、アスレチックス戦に「3番・DH」で出場し、初回に2試合連発となる8号2ランを放ち、日米通算150号に王手をかけた。前日にメジャー通算100本塁打をマークしたのに続き、打球飛距離425フィート(約129・5メートル)は今季最長。大リーグで今季指摘される「飛ばないボール」をものともせず、量産態勢に入った。

 オークランドの青空に白球が舞い上がった。開始約3分。初回1死一塁で昨季13勝の右腕モンタスが投じた高め96マイル(約154キロ)シンカーを振り上げた。右中間席中段まで飛んだ打球は今季最長425フィート(約129・5メートル)を記録した。

 前日のメジャー通算100号に続く連発。ジョー・マドン監督は「伸び上がる球を捉えた。ここから上がっていくよ」と感嘆した。カウント2―1からの高めを逃さなかった。

 指揮官は昨年4月4日のホワイトソックス戦、大谷がメジャー初のリアル二刀流出場で放った特大弾を思い起こしたという。その後の大活躍につながった一発で「最近はバットのヘッドが立ち出している」と分析した。

 今季の大リーグでは、大谷自身も9日に「去年よりは飛ばないという印象がある」と話したように「飛ばないボール」が話題だ。リーグ全体で昨年は1試合平均2・45本塁打だったが、今季は1・91本塁打と減少している。

 大谷の本塁打の平均飛距離は昨年の127・1メートルから、今季は125・2メートルと減少幅は1・9メートルにとどまる。加えて長打になりやすい打球速度と角度を組み合わせた「バレルゾーン」内の今季平均打球飛距離は、過去5年で自己最長の388フィート(約118・3メートル)を記録。メジャー全体では同ゾーン内の打球は過去5年間で最短の379フィート(約115・5メートル)と確実に飛ばなくなっている中、いわゆる「捉えた打球」では過去最長の飛距離と影響を感じさせない。

 昨季から反発係数を低く抑えた新ボールが導入されたが、旧ボールと混同して使われた。今季は全て新ボールに入れ替わったことで、各打者が「飛ばない」と口をそろえる。「体の強さみたいなものは年々上がっている」と話す大谷。環境の変化をオフのトレーニングで磨いた技術とパワーで乗り越えている。

 2―0の3回1死三塁では敬遠され、敵地ながら大ブーイングも湧き起こった。3敬遠はリーグトップ。4月は21試合で4本塁打とやや出遅れたが、5月は15試合で4本塁打と上り調子だ。打点もリーグ4位の26。チームは2連勝で開幕から37試合で貯金11以上は、地区優勝した04年以来18年ぶりとこちらも好調。球場に流れる期待感は、本塁打を量産したMVPイヤーと似た雰囲気になってきた。(笹田 幸嗣通信員)

 ≪昨季キング2人は明暗≫昨季本塁打王のブルージェイズ・ゲレロ、ロイヤルズ・ペレスの2人は本塁打の平均飛距離で明暗が分かれている。今季リーグ10位タイ7発のゲレロは昨季約125メートル→今季約131メートルに。一方、同14位タイ6発のペレスは昨季約124メートル→今季約122メートルと数字を落としている。
 大谷はモンタスからは通算3本塁打目で大リーグ投手別最多。2本塁打しているのはブルージェイズ・菊池ら10人いる。

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