西武・渡部 軸足上げて飛距離よくばる おかわり流に112キロ全体重左足に乗せパワー生む

[ 2022年2月3日 05:30 ]

インパクトの瞬間、右足を浮かせる渡部の打撃フォーム(撮影・尾崎 有希)
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 【キャンプ追球 ここにFOCUS】インパクトの瞬間に浮く右足。通常、右打者は軸足の右足が地面に着いたままバットを振り抜くが、西武・渡部は爪先を約3センチ浮かせる。「意識はしていないですが自然に(右足が)上がっている感じです。うまく体重が左足に乗るように」。右足を浮かせ、112キロの全体重を投手寄りの左足一本にぶつける。この左足を軸に、腰を鋭く回転させることが可能になる。スムーズな体重移動が爆発的なパワーを生む。

 体重102キロと同体形の中村も実践する打法。現役最多442本塁打を誇る主砲はかつて「浮く右足」を車の後輪に例えていた。「例えば車と車が正面でぶつかると後ろのタイヤは浮く。だからパワーは伝わっている」。外野の守備練習でノッカーが遠くに球を飛ばそうとすると軸足が浮くのも、同じ原理だ。

 一般的な長距離打者は、軸足に体重を残して体を反り返るようにして打つ。メジャー歴代最多762本塁打のバリー・ボンズもそうだった。だが、渡部は逆。打者によっては軸足に体重を残すことを意識しすぎると、球に強い力を伝えられなくなってしまう。

 20年ドラフト1位で入団し、2年目で初のA班(1軍)スタートとなった、昨年イースタン・リーグで本塁打と打点の2冠の愛称「よくばり君」。昨季はプロ初本塁打を放ったが出場は6試合止まりで、桐蔭横浜大時代から取り組んでいる打撃をプロでも実践しようと必死だ。フリー打撃では計47スイングし、日が暮れるまで室内で特打。「ヘッドが出てきている感じがあった。サードでレギュラーで出られるようにしっかりアピールしていきたい」。飛距離を求め、正三塁候補に浮上する。(神田 佑)

 《よくばった10時間》渡部は練習メニューも「よくばり」だった。午前8時15分からと、全体練習後の2度、計約2時間30分の三塁特守。泥だらけで辻監督の直接指導を受け「一日一日必死でやる。余裕が出たら(練習量をもっと)よくばりたい」とした。南郷名物の階段を上る途中で座り込むほどだったが、特打も敢行。松井ヘッドコーチから「ボールを(体に)入れ過ぎ。しっかりと引いて(球を呼び込んで)前で打つように」と助言を受けた。練習は約10時間。日が暮れた後に球場を後にした。

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2022年2月3日のニュース