ヤクルト・高津監督 独占!直筆優勝手記 「スワローズファンのみなさんへ」

[ 2021年10月27日 05:30 ]

ヤクルト6年ぶりセ・リーグ優勝 ( 2021年10月26日 )

<D・ヤ>胴上げされる高津監督(撮影・光山 貴大)
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 優勝マジックを2としていたヤクルトは26日、DeNA戦に5―1で勝利。2位・阪神が中日に0―4で敗れたため、15年以来6年ぶり8度目のリーグ優勝を決めた。2年連続最下位から就任2年目で頂点に導いた高津臣吾監督(52)は胴上げで5度、宙を舞った。ファンへの感謝と、最下位からのチーム再建への「スワローズ愛」を込めた独占直筆手記を、スポニチ本紙に寄せた。

 スワローズファンのみなさん

 6年ぶりのリーグ優勝を果たすことができました。コーチ、選手、球団スタッフが一丸となり、スワローズの野球を貫いてきたからだと思います。そして何よりファンのみなさんの応援があったからです。私が監督となった2年間、球場にみなさんが来られない日々もありましたが、みなさんの熱い気持ちはしっかりと届いていました。

 本当にありがとうございました。

 チームは9、10月の厳しい時期をよく乗り越えたと思う。今年はキャンプ前から、常にフルメンバーがそろっている状態で戦いたいと計画して目標にしてきた。うちは何かが凄く充実しているというチームじゃない。だからフルメンバーに近いかたちで、1年間戦い続けられたのが大きかった。そこはよくできたのかなと思う。

 何となく空気が重かった9月7日。阪神戦前にミーティングで「絶対、大丈夫。何かあったら僕が出て行く」と伝えた。結果的にその直後だったけど、9月13日の中日戦で判定に抗議した(※)。どうやっても覆らないけど、抗議できるのは監督だけ。引き下がれなかった。僕が言わないと、選手も“明日頑張ろう”と終われないと思った。

 あのタイミングのミーティング。内容は別として、選手を前向きな気持ちで戦わせてあげたい、とずっと思っていた。スワローズらしく、のびのびとプレーしてほしいと。先輩から受け継いだ伝統。その気持ちがあのミーティングになった。監督の仕事は“勝ちに導く”こと。そのためには、選手にやる気になってもらうことが絶対に必要。次に向かう気持ちにさせることが凄く大事だった。

 僕自身、ヤクルトから始まり、メジャー、韓国、台湾、独立リーグでプレーさせてもらった。いいことはもちろん、しんどい思いはその何倍も多かった。でも、無駄ではなかった。例えば野村監督。いまだにスワローズは野村監督がつくり、成長させたと思っている。野村監督がいたから、僕はここまで成長できた。野村監督の野球は凄く難しくて奥が深い。でもいざグラウンドでは、のびのびやらせてくれた。僕に対しては全くしばりがなかった。発想も豊かで、広くてやわらかい。“常識を疑え”という部分は受け継いでいるつもり。ただ、優勝したけどきっと褒めてくれないと思う。“ようやったな”くらいは言ってくれるかもしれない。“ふんっ”て笑っているんじゃないかな。

 ホワイトソックスのオジー・ギーエン監督もそう。僕が大切な試合で打たれて負けたときに「何を落ち込んでいるんだ、まあ飲め」とビールを差し出してくれた。びっくりした。こんな選手と監督の関係性があるんだと初めて知った。ケニー・ウィリアムズGMの言葉の力も凄かった。キャンプで50~60人の選手、スタッフの前で「何かあったら、いつでもこの電話番号に電話してきてほしい。24時間、オープンにしておく」と。実際電話する人はいないけど“君たちが勝つため、君たちの野球のために、こちらも最善の努力をするよ”という意味だったと思う。いろいろな経験が今、役立っているし、参考になっている。

 今年のチームは停滞、後退がなかった。ずっと前進している。ノーシードの高校が甲子園に行って勝ち進むのって、こういう状態なんだろうなと、シーズン中に何回か思った。ヤス(奥川)やムネ(村上)が成長するのは分かる。でも、石川や青木、川端が成長するのは、なかなかない。CS、日本シリーズでもさらに成長した姿を見せてくれると信じている。

 東京ヤクルトスワローズ監督 高津臣吾

 ※原文のまま掲載

 ◇高津監督の猛抗議 9月13日の中日戦(バンテリンドーム)。1点を追う9回1死一、二塁から川端の二塁前へのゴロで、一塁走者の西浦が一、二塁間で止まりタッチをよける間に、川端は一塁セーフ。この判定を、二塁塁審が確認できないまま一、二塁間の挟殺プレーの途中、中日・京田が二塁を踏み封殺をアピールもがジャッジなし。挟殺プレーが続く間に、三塁に到達していた走者の古賀が本塁を狙いタッチアウト。その後、中日のリクエストで二塁アウトが認められ試合終了。高津監督は約15分、審判団に食い下がった。

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