中畑清氏 引き分けは負け同然…巨人の選手は笑ってる場合か?

[ 2021年10月5日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】笑ってる場合じゃないよ。3日のDeNA戦。巨人は9回2死から大城の右越えタイムリー二塁打で追いつき、さらに満塁までチャンスを広げながら、最後は松原が三振に倒れて引き分けに終わった。試合終了後、テレビに映し出された巨人ベンチを見てショックを受けた。笑ってる選手がいたんだよ。

 首位のチームなら「負けなくてよかった」でいい。でも、今の巨人は3位。追いかける立場なんだよ。首位ヤクルト、2位阪神がともに勝った日に引き分けは負け同然。それぞれ0・5ゲーム離され、ヤクルトとは5・5、阪神には4・5差となった。そんな状況でよく笑えるよ。

 3年連続優勝はかなり厳しくなったけど、ヤクルトと6試合、阪神と3試合の直接対決が残っている。全部勝ったら逆転優勝の可能性も出てくる。4位中日とは10・5差。クライマックスシリーズ(CS)にはまず出られる。優勝がかなわなかったら、下克上を狙えばいい。CSには引き分けがあって勝利数が同じになった場合は上位チームの勝ちというルールがある。つまり下位チームにとって引き分けは負けと一緒。今から「絶対に勝つ」という意識を徹底してもらいたい。

 巨人が今季の目標としていたのが打倒ソフトバンク。日本シリーズ2年連続4連敗の屈辱を晴らすためにね。でも、野球は怖い。昨年まで日本シリーズ4連覇、V9時代の巨人にどこまで近づくかと思われた絶対王者が53勝55敗19分けと2つ負け越し、3位楽天に3ゲーム差の4位に甘んじているんだよね。

 エース千賀、グラシアルら主力選手が故障で長期離脱したり、東京五輪の予選でデスパイネ、モイネロのキューバ勢が抜けたり、いろんな要因があったんだろうけど、まさかこの時期に負け越しているとはね。残り16試合。このまま沈むか、盛り返して3位に浮上するか。短期決戦の戦い方を熟知しているチームだけに、CSに進出できたらV5の期待がつながる。

 5日から巨人は首位ヤクルトと3連戦、ソフトバンクは3位楽天と2連戦。ともに1敗もできない戦いになる。引き分けもNG。勝ち切る野球ができるか。注目したい。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2021年10月5日のニュース