斎藤隆氏 大谷の抑えたい思いから軸にしたスライダーがつかまった

[ 2021年9月12日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス5ー10アストロズ ( 2021年9月10日    ヒューストン )

<アストロズ・エンゼルス>先発登板も4回途中で降板した大谷(撮影・沢田 明徳)
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 【斎藤隆の目】エンゼルス・大谷はこの日は頼る球種がスライダーしかなかった。スプリットは死球を当てたように抜けていた。何としても勝利が欲しいマウンド。自身の本塁打などでリードしたこともあり、ゼロに抑えたいという思いから悪い球種を修正するよりも、悪いなりに一番勝負できると踏んだスライダーを軸とした。だが相手もスライダー系に的を絞っており、2巡目以降につかまった。

 いい時のフォームは、体が沈み込みながらエネルギーをため、左腰を回しながら一気にパワーを放出するが、この試合は腕の速い振りも体のしなりも見られなかった。前回はメジャー自己最多の117球。シーズンも終盤で、疲労がたまっていない方がおかしい。それでも無四球。苦しみながらもストライクゾーンに投げ込み、ファイティングポーズは取り続けていた。

 103年ぶりの「2桁勝利&2桁本塁打」だけでなく、前人未到の10勝50本塁打も手の届くところにある。普通にいけば、あと3試合の登板。プレーオフ進出は絶望的なので、個人的にはあと1勝挙げれば、残りは打者に専念してもいいと思う。その方が50発も、本塁打王も可能性が高まるからだ。でも大谷なら仮に次戦で10勝しても二刀流でシーズン最後まで全うしたいと考えるかもしれない。残り21試合。大谷の「二刀流プライド」に注目したい。(元パドレス球団アドバイザー)

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2021年9月12日のニュース