エンゼルス・大谷取材に1年3カ月ぶりの渡米 会見で質問機会得るのも一苦労 まだ厳しい取材制限

[ 2021年7月4日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス8ー7オリオールズ ( 2021年7月2日    アナハイム )

オリオールズ戦でエンゼルス・大谷を応援するファン
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 【スポニチ本紙・柳原直之記者現地ルポ】6月17日から主催試合での観客制限を撤廃し、2年ぶりの通常開催でにぎわいを取り戻しているエンゼルスタジアム。米国のボールパークに戻りつつある日常の光景で、アナハイムは大谷フィーバーに沸いている。新型コロナウイルス感染拡大後、初めて渡米した本紙MLB担当の柳原直之記者(35)が現地をリポートした。

 テレビ中継で見て分かっていたつもりだったが、目の前の光景には面食らってしまった。スタンドではワクチン接種を終えたファンの大半がマスクを着用せず、大声で騒いで声援を送っていた。9日ぶりのホームゲーム。6試合の東海岸遠征で5本塁打を放った背番号17のヒーローに、熱狂しっ放しだった。

 7回表終了時に流れる「私を野球場に連れてって」では大合唱。同点の9回、大谷の5打席目にはファン総立ちの「MVP」コールが湧き起こった。

 記者は1年3カ月ぶりの渡米。大谷を取り巻く周囲の環境は大きく変わった。試合前後に行われる両チームの監督、選手のオンライン会見では、今や敵も味方も大谷の質問が出ないケースがない。通常、米メディア→日本メディアの流れで会見は進むが、米メディアが先に大谷に関する質問をほとんどしてしまうほどだ。肝心の大谷本人の会見も希望者が多い「挙手制」とあり、質問の機会を得るだけでも一苦労。私は「ミュート(無音)解除」の機能がうまく使えず、一度、質問を飛ばされるヘマをした。ただ、大谷が懸命に笑いをこらえ、口元を緩めていたので、勝手ながらヨシとしている。

 一方、メディアにはまだ厳しい制限が敷かれている。球場入場時には米国到着後のPCR検査での陰性証明が必要で、その後も3枚の誓約書へのサインが毎回必要。ワクチン接種から2週間以上が経過した報道陣は、グラウンド取材が許可されるようになったが、それ以外は4階の記者席までの動線が一つだけ。場内でのファンなどへの取材も、もちろん許可されていない。

 しかし、試合後に向こうから「直撃」された。サヨナラ勝ちに大興奮のファンが「MVP!MVP!」と叫びながら記者席の前までやってきて、「大谷がMVPだ。投票権を持っているだろ?今すぐ大谷と書くんだ!」と、まくし立てられた。私は投票権を持っていないのだが…。とっさに愛想笑いしかできず、気の利いたアメリカンジョークで返せなかったことを後悔している。

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