エンゼルス・大谷 29&30号に続き“サヨナララン” 6月の月間MVPにも初選出

[ 2021年7月4日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス8ー7オリオールズ ( 2021年7月2日    アナハイム )

<エンゼルス・オリオールズ>9回、サヨナラの生還を果たし、ガッツポーズする大谷(AP)
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 ダブルの御礼弾だ。エンゼルスの大谷翔平投手(26)は2日(日本時間3日)、オリオールズ戦に「2番・DH」で出場し、29、30号本塁打。両リーグ最速で30号に到達するとともに、04年31本塁打の松井秀喜(ヤンキース)以来、日本選手2人目の大台到達となった。前日の球宴ファン投票初選出に続き、この日は6月の月間MVPに初選出。01年イチロー(マリナーズ)以来、日本選手2人目のシーズンMVPも視野に入ってきた。

 長い右足が伸びた。勝利を確信した大谷は捕手に吹き飛ばされ、ヘルメットが脱げながら、大の字にグラウンドに倒れて会心の笑みで両腕を天へ突き上げた。同点の9回、1死から四球で出塁。シーズン自己最多に並ぶ今季12盗塁目の二盗に成功し、前進していた右翼手正面への安打で二塁から一気にサヨナラの生還を果たした。

 「(三塁コーチが腕を)回すしかないのは分かっていた。打球も強く、どうかなという気持ちはあったが、迷いはなかったです」

 反撃も大谷からだった。4点ビハインドを背負った3回。先頭で左腕アキンの内角高めの92マイル(約148キロ)直球を打ち抜いた。真っ赤な右中間席に消える29号ソロ。続く第3打席は、1点差で迎えた4回1死一塁。2番手右腕テートの外角へ逃げる96マイル(約154キロ)の高速シンカーに、今度は逆らわなかった。逆転の30号2ランを左翼席へ。シーズン折り返しの81試合目で30本と、1927年のベーブ・ルースの自己記録に並ぶ60本ペース。MVPコールが鳴りやまなかった。

 6月27日のレイズ戦から、放った6安打は全て本塁打。日本選手の30本は松井秀喜以来2人目で、松井が残した歴代最多31本にも前半戦で王手をかけた。この日27号を放った本塁打2位のゲレロ(ブルージェイズ)には3本差に広げた。日本人がメジャーで本塁打王となる夢物語。試合前には「積み重ねてそうなれば一番いいし、高い目標にしている」と見据えた。「ただ、まだ30本にもいっていないし積み重ねだと思う」。そう話した数時間後に、節目に達した。

 前日に球宴ファン投票のDH部門で選出され、この日は13本塁打した6月の月間MVPも自身初受賞。ルースも果たせなかった球宴での投打二刀流出場が、全米でも注目の的だ。指揮するレイズのケビン・キャッシュ監督は、球団や大谷本人の意向を尊重する構え。大谷自身は「できないと思うことはない。ただDHでの選出なので。投げてほしいと言われれば投げると思うが、僕から何か言うことはないと思う」と冷静だ。球宴出場の意義については「チームが勝つことが一番の目標なので。付随していい成績を残せれば通る道かなと」と自身の哲学を強調した。

 2発よりも、9回の走塁を一番喜んだ。「(30本は)節目ではあるので打てて良かったけど、試合全体で見たら最後の盗塁と、二塁からの方が価値があると思う」。ぶれないその足取りは、誰よりも力強い。(笹田 幸嗣通信員)

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