竜党がこの笑顔を待っていた 中日・根尾がプロ初V打で初お立ち台「もっと喜んでもらえるように」

[ 2021年4月1日 05:30 ]

セ・リーグ   中日5ー3巨人 ( 2021年3月31日    バンテリンD )

<中・巨>プロ初打点を挙げ、初のお立ち台で笑顔をみせる中日・根尾(撮影・椎名 航)
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 竜党が待ちわびた光景だった。中日・根尾は少しはにかみながら、初のお立ち台に上がった。球場中から降り注ぐ視線、拍手、フラッシュ。初めて味わうすべてが心地よかった。

 「投手が代わったし、1球目から積極的に行こうと思っていました。初球から仕掛けていく準備はできていた。いいところで1本出て良かったです」

 3―3の2回無死二塁で高木の初球142キロを振り抜いた。最初のスイングで中堅左へ。通算43打席目で飛び出したプロ初の適時打が本拠地初安打。しかも初の決勝打となり、名称がバンテリンドームに変わった本拠地に初勝利をもたらした。

 20歳の心を奮い立たせたのが打席に入った際に場内に響く応援歌だった。大阪桐蔭時代に使われていた野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」のBGMをアレンジした曲。「一瞬で分かりました。懐かしいな」。甲子園春夏連覇を果たした当時を思い出し、バットを握る手に力を込めた。

 3年目で初の開幕スタメンを勝ち取り、初打席で安打。以降は14打席連続無安打に陥り、失策やバントミスでの途中交代もあった。「同じ失敗をしないように練習するだけ」。気持ちを切り替えるプロらしさも備わった。「1本でも多く、毎試合でも打ちたい。もっと喜んでもらえるようにいっぱい打ちたい」。1日は選抜大会の決勝戦。成長への貪欲さは球児の頃と変わらない。(徳原 麗奈)

 【記者フリートーク 中日担当・徳原麗奈】多くの人が思う根尾のイメージは「優等生」。今年1月、出身地・岐阜県飛騨市で開かれた成人式でも恩師から文武両道な逸話を聞いた。中学2年のとき、スキー選手として1カ月に及んだイタリア遠征から帰国して2日後にあったテストで学年3番。体育の授業でソフトボールをすると、打球を飛ばし過ぎるため「打つな」と指令が出るほど。確かに神童だったのだろう。

 だが、根尾らしさを感じたのが国語の授業で詠んだ川柳だった。「腹が鳴る 夢と希望の 20分間」。給食を待ちわびた男子学生の素直な心の声が紹介された。カメラを向けると変顔を披露するなど、ちゃめっ気もあふれる20歳。プロ生活に慣れたのか今年は取材でも堅いコメントが少なくなった。「素顔の根尾」がもっと見られるよう、さらなる活躍に期待する。

 ▼中日・与田監督 いい形で打てた。使っているのは僕なので、悪いときも思い切っていってほしい。目の前の一つ一つの数字にわれわれが右往左往しないように。

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