巨人ドラ1・平内は「新・燃える男」だ! 最速156キロ絶叫投法に原監督絶賛「馬力持ってる」

[ 2021年2月4日 05:30 ]

気合いの声を出しながらピッチングする平内(手前)と見守る原監督(撮影・森沢裕)
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 声で圧倒する。巨人のドラフト1位・平内龍太投手(22=亜大)が宮崎春季キャンプ3日目となった3日、2度目のブルペン入り。最速156キロを誇るルーキー右腕は、大声を発しながら80球を投げ込んだ。声を張り上げての投球に原辰徳監督(62)は、現役時代に対戦した「燃える男」こと星野仙一氏を引き合いに評価。開幕ローテーション入りに向け、期待の新人が猛アピールした。

  熱を帯びるにつれ、声も大きくなった。原監督ら首脳陣が見守った投球練習。腕を振るたびに平内が叫ぶ。「よいしょっ!」。無観客でファンのいないブルペンに、ルーキーの声がひときわ響いた。

 「力も入れましたし、声を出した方がリリースとかタイミングが合いやすい。“よしっ”て感じで自然に出ますし投げやすいです」

 初日の初ブルペンでは、ツーシーム、スプリットなどをバランスよく投げた。2度目のブルペンでは「終盤はもうほとんど真っすぐを投げた」と直球を多投。機器の不具合で最速は141キロにとどまったが、自らを声で鼓舞した最速156キロ腕は「よいしょ投法」で重い直球をミットに投げ込み続けた。

 陸上やテニスなど、他競技でも声を出すアスリートは多い。大きな声を出して脳に刺激を与え、運動制御のリミッターを外し、筋肉の限界値まで力を発揮させるという「シャウト効果」だ。一般的には大声を出すことで筋力の出力が、5~7%ほどアップすると言われている。パドレスのダルビッシュや、ツインズ・前田も投球時に声を出すことが多い。トップレベルの投手も、身に付ける方法を平内も学生時代から取り入れ、キャッチボールでも行うこともある。

 原監督は「体が全体的に疲れている」と分析しつつ、声で自身を高める新人右腕を「やっぱり馬力を持ってる」と評価した。その上で、現役時代に対戦した燃える男を回顧。“打倒・巨人”で気迫を前面に出した中日のかつてのエース、故星野仙一氏だ。新人時代の81年4月5日に初対戦。「星野さんが投げる前に“おらぁ、いくぞっー!”てね。凄いでしょ。脅かしだと思った」。投球時も燃える男の「おらぁ」の気合はほとばしっていた。平内にもその気迫を重ねた。

 練習の厳しい亜大で鍛えた筋骨隆々の体。宿舎の風呂で出くわした宮本投手チーフコーチも「マッチョマン」と圧倒された。課題だったプロのマウンドには「慣れてきて、違和感はなかった」と調整は順調。リーグ3連覇、9年ぶりの日本一へ。新たに加わった平内が、1軍のマウンドで「よいしょっ!」と叫び続けてみせる。(田中 健人)

 ◆平内 龍太(へいない・りゅうた)1998年(平10)8月1日生まれ、兵庫県明石市出身の22歳。錦が丘小から野球を始める。魚住東中では軟式野球部に所属。神戸国際大付では1年秋からベンチ入りも甲子園出場なし。亜大では1年秋からリーグ戦に登板し通算5勝5敗。1メートル85、90キロ。右投げ右打ち。

 ▼神奈川大学ボディービル部監督・大河原久典氏 「シャウト効果」はさまざまな研究で2つの効果が実証されている。1つ目は反復運動で疲労がたまった際に大声を出すことで、パフォーマンスが一時的に元に戻る効果。2つ目は力みを抜き、過緊張を防ぐ効果だ。息を止めると体が固まりやすくなり、動きにもブレが生じる。剣道や弓道で用いられる手法で息を吐き続けることで、体の無駄な振動や緊張を止めることができる。また、自ら叫ばずとも、気心の知れた友人に耳元で叫んでもらった時でも効果が実証されている。応援団にはそういう意味もある。

≪球界のシャウト系投手≫☆星野仙一 愛称は燃える男、闘将。乱闘も辞さない投球スタイルは元祖熱血投手。

 ☆田中将大 本人いわく「自分に対する喝」。13年日本シリーズでは巨人・ロペスと一触即発も。

 ☆ダルビッシュ有 09年WBC決勝のシャウトは伝説。昨季の全三振集動画での投球時のうなり声がMLB関係者の間でも話題に。

 ☆沢村拓一 昨季9月のロッテ移籍初登板の際のシャウトが「格好良すぎる」と話題。

 ☆秋山拓巳 昨季の無観客での応援自粛の影響で、静音の球場で響く投球時の声出しが話題となった。

 ☆西純矢 高校時代、甲子園での雄叫びが物議。1軍未登板も熱血投球期待。

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2021年2月4日のニュース