中畑清氏 セ4番の若き和製大砲 今やメジャー級

[ 2020年7月28日 07:00 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】セ・リーグの4番打者が躍動している。打撃3部門の上位は目下打率トップの堂林翔太(広島)を除いて各球団の4番が独占。しかも31歳のビシエド(中日)以外みんな若いんだ。

 村上宗隆(ヤクルト)が20歳なら、岡本和真(巨人)は24歳。鈴木誠也(広島)と佐野恵太(DeNA)、さらにマルテの離脱で返り咲いた大山悠輔(阪神)の3人は同い年の25歳だ。

 私は1軍に定着したのが25歳で、初めて4番を打ったのは27歳。風格すら出てきた村上や岡本を見ていると、今の時代に生きなくてよかったとつくづく思うよ。

 ちょっと前まで4番は外国人選手やFAで獲った選手を置く球団が多かったけど、中日以外は生え抜きの若手。中日にもルーキーの石川昂弥が控えているからね。

 若き和製大砲が4番を張るプロ野球新時代の到来。野球界全体のレベルが上がってきているのを感じる。

 私たちの時代は150キロを見たらワーッと盛り上がった。それが今は160キロ出さないと歓声が湧かなくなっている。

 大谷翔平(花巻東―日本ハム―エンゼルス)や佐々木朗希(大船渡―ロッテ)のように高校生で160キロを投げる投手が出てきたからね。

 今や高校生でも160キロへの対応を迫られる時代。昔は打撃投手に手前から投げてもらうくらいしかなかったけど、今はマシンを高速に設定していくらでも打ち込める。

 マシン打撃の副産物として体力がつき、動くボールや緩急に対応するため逆方向へ強い打球を打つ技術も会得。高校時代から準備を始めているから、プロのスピードや切れにも早くなじめるようになるんだと思う。

 DeNA監督時代、23歳で4番を託した筒香嘉智(レイズ)がメジャーデビュー戦で逆方向にホームランを打った。スピード、パワー。日本の打者もメジャー級になりつつあるね。

 来年に延期になった東京五輪の開会式1年前となる23日、野球・ソフトボールの会場となる福島県営あづま球場の野球教室に行ってきた。若きセの4番たちが日の丸を背負って立つ世界の舞台。コロナをぶっ飛ばして、ぜひ開催にこぎつけてもらいたいな。 (本紙評論家・中畑 清)

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