オリックス佐野、レギュラー定着への“独り旅”で日々成長中!

[ 2019年5月2日 12:15 ]

<オ・ロ(3)>初回1死、左前打を放つ佐野(撮影・成瀬 徹)
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 オリックスで売り出し中の佐野皓大外野手が、ある“独り旅”を経て、主力選手に脱皮しようとしている。それは、ファンにもあまり知られていない旅路の中で、ヒントを得たものだった。

 「中嶋2軍監督に教わってから、ボールの見え方が変わりました」

 開幕から1軍に居続ける佐野が果たして、いつ、中嶋2軍監督と話す機会があったのか。それは4月23日のことだった。

 オリックスは22日は東京ドームでソフトバンクと戦っていた。翌日チームは空路で福岡入りし、24日からはヤフオクドームでソフトバンク2連戦。もちろん佐野もベンチ入りしているが、23日はチームとは別行動で新幹線に乗り、実は2軍戦の行われている名古屋に向かっていた。「打席に立たせるため」というチーム方針だが、早朝から出発し、ナゴヤ球場でのウエスタン・リーグ中日戦に出場し、その夜に博多入りするというハードスケジュールだ。1番右翼で出場した佐野は5打数2安打。この試合で実はヒントを得ていた。

 「今まではショートに内野安打を打つような感覚で、右肩が入りすぎていたのを真っすぐにしました。それと足を動かさないようにしたんです」。この修正がはまり、1軍では27日の西武戦で今季2度目のスタメン出場を果たすと2安打。翌日の西武戦も2安打…と、スタメンに定着してから、ここ4試合連続安打中と見違える変化を見せている。

 さらに先生は、もう1人いた。「追い込まれたら1球でも粘るようにしています。追い込まれた後のイメージは中島卓也さん。球数を投げさせるように」。カット打ちの名人も模倣している成果は安打という結果にも表れ、「追い込まれてからの対応が少し良くなった。自分が投手だったときは、すごく嫌だったので」と手応えを口にする。佐野は入団時は投手。逆転の発想で、投手が嫌がる打者への脱皮を図っている。

 若手選手は、1つのきっかけで大きく変わることもある。佐野は代走のスペシャリストとして西村監督に期待され、自身初の開幕1軍を果たした。しかし、それは本意ではない。「やっぱりレギュラーで出たいですよ。夏場ぐらいには、どこかのポジションを獲って、レギュラーで出られるようにしたい」。つい最近まで、そんな目標を語っていたが、予想よりも早く分岐点を迎えている。これまで追い込まれてからは内角に手が出なかったこともあるが、ここ最近は「インハイ」と呼ばれ、打者もさばくのに苦労する内角高めでも手が出るようになってきた。博多への陸路が、彼には分岐点になったようだ。

 「左(打席で)は三振しないことだけ考えて。前に飛べば、何とかなるかなって。逆に右は思い切り自信を持って振っています。(福田)周平さんが前にいてくれるので、気持ちが楽になる部分もあります」

 2番で持ち味を発揮し始めた毎日は充実しているだろう。今後レギュラーとして定着できるか、今は重要な日々だ。やはり、かわいい子には旅をさせろ、というのは本当かもしれない。(オリックス担当 鶴崎唯史)

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2019年5月2日のニュース