イチロー氏 マ軍インストラクターで「カムバック!」 担当は走攻守すべて 

[ 2019年5月2日 02:30 ]

2月のキャンプでチームメートと言葉をかわすイチロー氏(中央)(撮影・会津智海)
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 マリナーズは30日(日本時間1日)、3月に現役引退したイチロー氏(45)がインストラクターに就任したと発表した。昨年5月に就任した会長付特別補佐を兼務する。インストラクターとしては打撃、外野守備、走塁を担当。本拠地での大半の試合に同行し、傘下3Aタコマでも指導にあたる。過去に例をみない新たな役割を担う指導者として、野球人生の第2章をスタートさせた。

 午後3時。3月21日に東京ドームで行われたアスレチックス戦を最後に現役引退したイチロー氏がクラブハウスにいた。この時点で会長付特別補佐兼インストラクター就任の発表はなく「カムバックします」と、ちゃめっ気たっぷりに話した。負傷者リスト入りしている正三塁手シーガーは目を白黒させた。

 「一緒にやってきた選手たちとまた一緒にできる。同じチームで可能性を探れるというのは、それは楽しいでしょうね」とイチロー氏は話した。昨年までの会長付特別補佐の役職に新たに加わった「インストラクター」は技術指導を主に行う専門職の役割が多いが、イチロー氏の場合は、打撃、外野守備、走塁と走攻守全てを担当する。本拠地の大半の試合前練習に同行し、チームが遠征中は、シアトルから車で約1時間の傘下3Aタコマでも指導する。コーチの枠組みではなく、試合もベンチに入らない。

 メジャー3089安打、10年連続ゴールドグラブ賞、盗塁王にも輝いたイチ流の技術、野球への姿勢を伝えることは、若返りを図るチーム改革の柱にもなる。ジェリー・ディポトGMは「蓄積した豊富な知識、経験をチームに還元してほしい」と話しており、スコット・サービス監督も「試合への準備など可能な限り携わってもらいたい」と期待した。

 就任初日の動きはイチロー氏らしかった。練習着に、両手に打撃用手袋をはめ、コーチミーティングにも参加した。この日はベンチ裏の室内練習場で準備に徹した。トレーニング、打撃にマウンドからの投げ込みも行い「(選手から)何かを見せてほしいと言われれば、もちろんやりたい。まず僕自身が体をつくらないと。今日はその第一歩」と実演指導にも意欲を示した。

 名誉職や巡回コーチとも違う新たな指導者像が求められる。「何ができるかも分からない」と話すが、平成で日米通算4367安打を積み重ねたレジェンドは、令和の幕開けとなった日本時間5月1日に新たなスタートを切った。

 〇…インストラクターは「ヒッティングインストラクター」など部門別で付くのが通例だ。過去、メジャーでプレーした日本選手で、引退後に大リーグ球団に所属したケースはある。野茂英雄氏は16年にパドレスの球団アドバイザーに就任。キャンプではユニホーム姿で練習を見守った。パ軍は17年には斎藤隆氏も同職に招へい。また、松井秀喜氏は15年3月からヤンキースのGM特別アドバイザーに就任。マイナーの巡回コーチ役として、傘下2Aや3Aの若手指導を行っている。

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2019年5月2日のニュース