“浦学の大谷”渡辺初完封 フォーム模写して球速アップ「155キロ出したい」

[ 2018年8月17日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会第12日・3回戦   浦和学院6―0二松学舎大付 ( 2018年8月16日    甲子園 )

<浦和学院・二松学舎大付>雨の中、水しぶきを上げ投球する浦和学院・渡辺(撮影・大森 寛明)
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 大谷2世が躍動した。3回戦4試合が行われ、浦和学院(南埼玉)は二松学舎大付(東東京)を6―0で下した。プロ注目の渡辺勇太朗投手(3年)が5安打、10奪三振の快投で完封。エンゼルスの大谷翔平投手(24)にそっくりなフォームから自己最速タイとなる149キロをマークするなど、2年生主砲の鈴木健を擁し、初出場で4強入りした86年以来の夏8強に導いた。

 横殴りの風雨にも乱れなかった。渡辺は9回のマウンドにも上がった。先頭の3番・平間を「取りに行きました」とツーシームで空振り三振。そして保川を投ゴロ、最後は代打・堀川を二ゴロに仕留めた。5安打に抑えて10奪三振。109球で自身初の完封を成し遂げた。

 「甲子園で先発完封は誰もが夢を見ますよね。僕もそう。凄くうれしい」。3年春まで右肩、右肘痛を抱え、8回までが最長投球だったが、8回を投げ終わると森士(おさむ)監督に「いかせてください」と直訴。指揮官も「情が出てしまった」とうなずいた。

 体は熱く、心は冷静に。目標に掲げるエンゼルス・大谷翔平ばりにギアを上げた。初回1死二、三塁では4番・保川、5番・畠山を直球勝負で2者連続3球三振。「自分はピンチになると燃える」。4回無死二、三塁でも自己最速に並ぶ149キロをマークし、連続三振を奪った。

 昨秋から背番号11で投げる。故障続きで「1番」をもらえなかったが、1メートル90右腕は日本ハム時代の大谷と同番号に「ちょうどいい」と笑う。昨秋、身体構造を4タイプに分けて分析する「4スタンス理論」の指導を受けた。大谷と同じ部類だと知ると、パソコンの動画で左足の上げ方や体重移動を参考にした。「夏が終わるまでには155キロを出したい」とフォームを模写し、球速もアップした。

 2カ月前にはツーシームを覚えた。「簡単にファウルを取れるし、内野ゴロも打たせられる」と球数も少なくなった。昨日の練習中から雨天を想定。この日もロジンバッグを何度も握り直すなど、いろんな工夫が生きた。

 13年春のセンバツ王者だが、浦和学院にとっては初出場で4強進出した86年以来の8強。昨夏はライバルの花咲徳栄が全国制覇した。「先を越されて衝撃的につらかった。でも勇気をもらった」と森監督。18日の準々決勝では大阪桐蔭と激突。「歴史を塗り替えたい」。ここまで仙台育英との初戦から15回連続無失点。渡辺が「0」を並べ続ければ、浦和学院にとって悲願の夏制覇も見えてくる。 (伊藤 幸男)

 ▼上武大・谷口英規監督(86年夏、背番号11の2年生投手として4強進出)僕らの時以来とは知らなかった。当時は楽しかった思い出しかない。初出場で全てが新鮮。他校の情報や先入観もなく、楽しくやっていた。今は野球に対する姿勢もはるかにしっかりして、皆さんに応援されるチームになった。

 ▽浦和学院の86年夏の甲子園 創立9年目で初出場を果たし、エース谷口、4番・鈴木の2年生コンビが躍動。谷口は4戦連続完投し、鈴木は高知商との準々決勝で高校通算33号となる甲子園初アーチを放った。県勢11年ぶりの4強進出も、準決勝は松山商に3―14と大敗。埼玉大会直前で病に倒れ、甲子園開幕後に死去した野本喜一郎監督に代わり、27歳和田昭二監督が指揮を執った。

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