ロッテ・土肥、プロ初勝利 5月に急死した天国の父にささげる快投

[ 2018年8月17日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ6―2日本ハム ( 2018年8月16日    札幌D )

プロ初勝利をあげた土肥(撮影・高橋茂夫)
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 2年目でつかんだ初勝利の記念球を握ったまま、答えたヒーローインタビュー。そのボールの行き先を聞かれたロッテ・土肥は「実家へ送ろうと思います」とはにかんだ。どうしても渡したい人がそこにはいるからだ。

 「久しぶりの1軍だったのでビビったけど、周囲が声を掛けてくれた」。初回2死一塁、中田に2ランを浴びたが、140キロ台前半の直球は低めに集まり、120キロ前後のチェンジアップの抜けが良かった。3回無死一塁からは9者連続アウト。5回2/3を4安打2失点と十分仕事をした。

 プロ初先発した5月20日のソフトバンク戦の2日後の22日、父・克彦さんが肝臓の病気で急死した。49歳の若さだった。「心配をかけたくなかった」と周囲に伏せ、通常通りの練習を続けた。観戦予定だった同27日のオリックス戦(京都)の客席に家族に抱かれた遺影の中の父がいたが、結果は出なかった。

 尽誠学園時代、父は応援に来た香川で讃岐うどんに出合い、地元の大阪府大東市でうどん店を開いた。超のつく人気店だったが、高校時代は試合のたび、臨時休業の札がかかっていた。少年野球時代から常に父の声援が背中にあった。それほど自分を野球を愛してくれた。6月3日の広島戦以来4度目の先発で待望の白星をつかみ、いい報告ができるとねぎらわれた23歳は「良かったです」とかみしめるように言った。

 「粘って投げてくれた」と井口監督。今季、先発した左腕は7戦未勝利でチームにも「初勝利」をもたらした。一度出場選手登録は抹消されるが、次の出番が来るのはそう、遠くないはずだ。

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2018年8月17日のニュース