大阪桐蔭・中川逆転V打 自分のベース踏み損ねから…昨夏サヨナラ負け悪夢打ち破る

[ 2018年8月17日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会第12日・3回戦   大阪桐蔭3―1高岡商 ( 2018年8月16日    甲子園 )

<大阪桐蔭・高岡商>9回2死二塁、マウンドに集まる(左から)根尾、山田、石川、柿木、小泉の大阪桐蔭ナイン(撮影・近藤 大暉)
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 2点リードの9回2死二塁。マウンド上の柿木を囲むように大阪桐蔭(北大阪)の内野陣が集まると、二塁手の山田がつぶやいた。「昨年を思い出すな」――。サヨナラ負けを喫した昨夏仙台育英との3回戦。一塁ベンチ、第4試合、ナイター照明、タオルを回す観客…。状況は同じだ。高岡商への手拍子が強まる中、中川主将は切り出した。

 「昨年の二の舞いにはならないぞ」

 気持ちを入れ直した柿木は後続を空振り三振に封じ、試合を締めくくった。昨夏の仙台育英戦は中川が一塁ベースを踏み損ねたのを機にサヨナラ負けを食らった。「一日たりとも忘れたことはありません」。涙に暮れた試合から1年。3回戦を中川の一撃で突破した。1点を追う3回1死一、二塁で左中間へ逆転二塁打。誇らしげに右拳を上げた。

 春夏連覇への重圧、極度の不振…。初戦で無安打だった中川はどん底にいた。2回戦を控えた練習日。「もうバットを握りたくないという状況でした」と振り返るが、救いの手を差し出してくれたのは西谷浩一監督だった。「おまえが何三振しても代えない。おまえがつくってきたチームだろ」――。気持ちはスッと楽になった。

 中川主将と根尾、藤原ら7人のサポートメンバー計9人と指揮官は「本物 最高最強のチーム作り 日本一への道」と題した分厚いノートを共有する。新チーム結成から始めたノート。1ページ目を担当した中川はこう記した。「2018年は1敗もしない」。その決意通り、18年は破竹の公式戦24連勝だ。

 準々決勝の相手は浦和学院に決まった。今春センバツ前の練習試合は1勝1敗。「2018年は大阪桐蔭の夏だったといわれる夏にしよう」。指揮官がノートにしるした言葉が結束力を生み出している。根尾、藤原に注目は集まるが、中川らU―18高校日本代表候補に6人が挙がる。史上初2度目の春夏連覇まであと3つ。タレント軍団が、偉業へまた一歩近づいた。 (吉仲 博幸)

 ◆中川 卓也(なかがわ・たくや)2000年(平12)7月28日生まれ、大阪府出身の18歳。4歳から野球を始め、中学時代は大阪福島シニアでプレー。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。家族は両親と兄、姉。1メートル75、78キロ。右投げ左打ち。

 ▽昨夏の大阪桐蔭VS仙台育英 3回戦で激突し、1点を追う仙台育英は9回2死無走者から杉山が中前打で出塁。後続が四球でつなぎ、好機を広げた。次打者の遊ゴロで試合終了かと思われたが、大阪桐蔭は一塁で送球を受けた中川がベースを踏み損ね、セーフの判定に。2死満塁から仙台育英の馬目が中堅へサヨナラの二塁打を放った。

 ≪通算52勝は単独3位≫大阪桐蔭・西谷監督が甲子園通算52勝目。51勝で並んでいた横浜・渡辺監督、帝京・前田監督を抜き単独3位に浮上した。また、通算52勝9敗で勝率も.852に上昇。次の浦和学院戦に勝つと.855となり、PL学園・中村監督(.853)を抜き20勝以上の監督では歴代1位となるがどうか。

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