投手復帰へ動き出した大谷 フルスロットルより大事なフォーム固め

[ 2018年7月23日 10:30 ]

キャッチボールを再開した大谷
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 エンゼルス・大谷が「投手復帰」に向けていよいよ動きだした。19日に右肘を再検査し、「投球練習の再開が医学的に認められた」と球団が発表。同日から3日連続でキャッチボールを行った。

 大谷のコメントで興味深いものがある。報道陣から前半戦総括を求められ、開幕直前に「すり足気味」の打ち方に変えた決断を振り返ってもらった時のことだ。「フォームは常に変わるものだと思っています。それがシーズンの前なのか、シーズン中なのか、僕的には特にあまり大きな違いではないです。より大きな方向にもっていくために、どのタイミングで変えるかというのはそれほど大事ではないと思っています」。フォームを固めるという思考はないのだろう。変化を恐れていない。飽くなき探究心には毎度のことながら驚かされる。

 ただ、これは打者の場合。同じ思考でも、投手の場合はやはりフォームを固める必要があるのではないだろうか。実戦勘はもとより、それが「投手・大谷」が打者より復帰に時間が掛かる理由の一つだと感じている。日本ハム担当記者時代、あるコーチに走者がいなくてもセットポジションで投げる利点について質問したところ「投球フォームの再現性が高い」という話を聞いたことがある。ワインドアップよりセットポジションの方が体重移動がシンプルだから、同じ投球フォームで安定感のある投球を続けることができるという理屈だ。大谷はプロ2年目の14年からセットポジションからの投球を採用。制球力が格段に増し、二刀流として飛躍のきっかけをつかんだ。

 相手主導ではなく、自らが主導となる投球動作。だからこそ、フォーム固めはより大事になる。右肘に負担が掛からないフォームも探さなければならない。もちろん、そのことは大谷も分かっている。20日の試合後には「フォームをもちろん見直すことも必要なのかなとも思います。必要なのであればそこをやるべきなのかなと。どこが原因なのか、はっきり分かればそれは苦労しないと思うんですけど。可能性のあることをつぶしていくということは大事かなと思います」と話していた。焦らず、じっくり。シーズン終盤にフルスロットルの大谷が見られることを期待している。(記者コラム・柳原 直之)

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2018年7月23日のニュース