【京都】春夏甲子園ならずも…乙訓・中川主将「やりきった」 痛み止めのんで気力の全力疾走

[ 2018年7月23日 12:58 ]

第100回全国高校野球選手権記念 京都大会準々決勝   龍谷大平安11―0乙訓=5回コールド ( 2018年7月23日    わかさスタジアム京都 )

<乙訓・平安>校歌を斉唱する平安ナインを見つめる乙訓ナイン(撮影・井垣 忠夫)
Photo By スポニチ

 さわやかに散った。涙はない。今春選抜に初出場を果たした乙訓・中川主将は最後まで気丈だった。

 「高校野球を通じて何を学んだかが大事。試合の結果が全てではない。下を向かずに整列できましたし、やりきりました」

 龍谷大平安との大一番は、予想外のワンサイドゲームとなった。2回に先制を許すと、守備の乱れもあり、その後は防戦一方。5回には8連続出塁を含む8安打を集中され、11点差をつけられた。2点以上を挙げなければコールドゲームが成立してしまう5回の攻撃。市川靖久監督が「1本出してくれたら空気が変わる」と先頭打者として代打起用したのが中川だった。

 背番号5をつけるが、今大会は初出場だった。6月半ばに左足頸骨を疲労骨折していることが判明。全治2カ月半と診断され、歩行をようやく再開できたのも7月中旬になってからだった。チームの練習にも合流したばかり。この日も痛み止めを服用しての出場だったが、二ゴロに倒れた際も全力疾走で一塁を駆け抜けた。

 「5回に10点目が入ったところで準備はしていました。痛みはアドレナリンも出ていたので大丈夫です」

 昨秋の京都大会で初優勝すると、近畿大会でも4強入り。選抜初出場を果たした。初戦でおかやま山陽を下すと、今春の京都大会でも優勝。右の川畑、左の富山という二枚看板に注目が集まったが、部員113人という大所帯をまとめてきたのが中川だった。

 染田賢作部長が「真面目で良いキャプテンでした。本当は優しいヤツなんですけど、先頭に立ってチームを引っ張ってくれた」と話したように、その存在感は誰もが認めるところ。選抜の2試合では無安打に終わったこともあり、いつしか「中川を甲子園に連れていって、リベンジをさせてやろう」がチームの合言葉となっていた。

 春夏連続の甲子園出場はならなかったが、乙訓としての新たな歴史を築き上げた。「最後の最後まで胸を張って、悔しい顔は見せるなよ」。試合後。三塁側のロッカールームには、中川の大きな声が響き渡った。

続きを表示

2018年7月23日のニュース