ユニバ初の単独Vを支えた裏方の奮闘 東大監督が変装、警備員と押し問答も

[ 2017年9月17日 10:00 ]

決勝で米国を下して連覇を達成し、善波監督を胴上げする日本代表ナイン
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 史上初の単独優勝で幕を閉じた今夏ユニバーシアード野球競技。大学日本代表悲願の単独金メダルの陰には、裏方の奮闘があった。

 近年は他国のデータ分析を代表スタッフとは別に各大学の現役監督が務めており、今大会は東大・浜田一志監督、国学院大・鳥山泰孝監督、さらに明大の選手兼学生コーチの庭田草志と吉武優大が開催地に派遣された。

 上位トーナメント進出をにらみ、日本代表戦を見ることはなく、ひたすら他国の分析を続ける。公然と偵察行為ができない中で、できる限りの情報を集めなければならない。周囲に違和感を与えないようにするため、浜田監督はあえてタンクトップに短パン、サンダル姿で毎日球場に通ったという。「その格好で朝、ホテルに周りを散歩していたら、現地の人に道を訪ねられた」と振り返るほど完璧な「変装」でつぶさに相手国を見続けた。

 より良い位置から見ようと、がら空きのVIP席になんとか入ろうとして英語で警備員と押し問答したり、地元のファン以上に4人で網にかぶりついて試合を見たり…まさに大奮闘だった。そうして得られた情報は、鳥山監督の提案で代表選手で作ったLINEグループで共有。映像も交えて、膨大な情報をあげていった。自チームの指導もあるため、代表より先に帰国。金メダル獲得の一報は日本で聞いた。

 浜田監督は「東京六大学は日本の野球で唯一、天皇杯をいただいている。だから、国の代表のためになるならなんでもやろうと思った」。鳥山監督も「少しでも貢献できたなら本当に良かった」胸をなで下ろした。

 善波達也監督は「優勝できて本当にホッとした。選手、関わって下さった皆さんのおかげ。感謝したい」とねぎらった。(記者コラム・松井 いつき)

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