涙こらえた夏から4年…中日・鈴木翔太「成長」見せた感涙の凱旋勝利

[ 2017年7月13日 09:30 ]

地元・浜松での凱旋登板となった6月27日の阪神戦で、6回1/3を3安打1失点で勝ち投手となった鈴木
Photo By スポニチ

 中日の4年目右腕・鈴木翔太投手(22)が、先発ローテーションの一角として奮闘している。5月9日のDeNA戦でプロ初勝利を挙げたのを皮切りに、前半戦は11試合に登板して5勝(3敗)をマーク。静岡支局に赴任していた13年夏、彼の高校最後の試合を取材した記者としては、やはり自然と毎週の登板結果が気になる。

 浜松市出身の鈴木は、同市内にある聖隷クリストファー高出身。高2の12年夏、エースとして同校を初の県大会4強に導き、注目を集めた。4回戦では、優勝候補の本命だった静岡高を2安打1失点に封じて完投勝利。静岡の野球ファンに鮮烈な印象を残した。

 プロのスカウトからも熱視線を浴びるようになったが、それは「いばらの道」の始まりでもあった。新チーム発足直後の2年秋は西部地区予選で敗退し、県大会すら進出できなかった。2年の3月にはフォームを崩し、右肘を痛めた。3年春の県大会2回戦・富士市立戦では3回2/3で5失点KO。どん底を味わったが、2年夏の好投時の映像を「ユーチューブ」で確認して本来のフォームを思い出し、復活を遂げてみせた。

 だが、高校最後の夏は準々決勝で菊川南陵に2―3で敗退。鈴木は9回3失点と粘投したが、一歩及ばなかった。試合後、クールダウンのキャッチボールをする背番号1は涙をこらえているように見えた。

 スカウトやメディアに注目され、常に重圧、試練と戦い続けた高校最後の1年間は、さぞかし苦しかっただろう。だが、鈴木は「注目を浴びていた方が、いい力になりました」と言い切った。迷いのないまなざしと、高校野球をやり切ったすがすがしさ。3カ月後、彼は中日からドラフト1位指名を受け、プロの世界へ飛び込んだ。

 プロ入り後は15年の左膝骨折、昨年の左脇腹痛など度重なるケガに見舞われたが、今季ようやく開花の時を迎えた。地元・浜松での凱旋登板となった6月27日阪神戦では、6回1/3を3安打1失点で4勝目。「今年は結果を残そうとやってきた。こうして浜松で投げさせてもらい、少しでも成長した姿を見せられた」。お立ち台で目を潤ませながら故郷への思いを口にした姿に、4年前の背番号1が重なって見えた。(記者コラム・原田 真奈子)

続きを表示

この記事のフォト

2017年7月13日のニュース