大谷 わずか29球1敗も前向き「実戦の中で得るものは大きい」

[ 2017年7月13日 05:33 ]

パ・リーグ   日本ハム3―6オリックス ( 2017年7月12日    京セラドーム )

<オ・日>2回、小谷野に四球を与え、悔しがる大谷
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 大谷、制御不能――。足の故障で今季ここまで登板がなかった日本ハム・大谷翔平投手(22)が12日のオリックス戦で先発。球数を制限してのマウンドは、1回1/3で2安打4失点の結果に終わった。全29球中、ボール球は17球。直球は最速158キロを計測したが、制球できなかった。チームは3連敗で借金は今季ワーストを更新する20に膨らんだ。

 4失点。先発投手が2回に深い傷を負い、試合に敗れた。大谷には昨年5月15日以来のレギュラーシーズンの黒星がついた。勝つための采配だったのか――。そう質問された栗山監督は「もちろん」と言い、「ごめんね。俺がヘボいんだよ」と言葉をつないだ。

 大谷は左太腿裏の肉離れからの復調途上。一足早く復帰した打者としてもフル稼働には至っていない。この日の登板を、指揮官は「前に進む想定の中で、1軍で出力を上げて投げるというのが一つのチェックポイントだった」と説明した。大谷も言う。「実戦という意味で気付かないうちに強度が高くなる」。二刀流本来の力を取り戻すため、必要と感じて選んだ階段。だが、結果は散々だった。

 昨年10月22日の広島との日本シリーズ第1戦以来、263日ぶりの1軍マウンド。初回先頭の小島に四球を与えた。直球が引っかかり、制球ができない。2回は1死から小谷野に四球。連打を浴び、満塁から大城に4球連続ボールで押し出し四球を与えた。ここで交代を告げられた。直後、メンドーサが伊藤に走者一掃打を浴びた。

 復調の過程で球数に制限がある中、勝ち負けが懸かる1軍戦で先発した。理由はさまざまだ。攻撃の戦力でもあり、2軍での調整登板にも障壁がある。1、2軍の本拠が離れている事情もある。だが、何より、1軍戦で発揮する「出力」が大事だった。制限下でも、2軍で多くの球数を投げること以上の中身をつかめると期待した。昨季も7月に右手中指のマメをつぶし、9月7日のロッテ戦で短い回に限定した1軍先発を経た。結果、優勝投手へと駆け上がった。

 今後について栗山監督は「(登板後の)体を見ないと分からない」と明言を避けた。「実戦の中で得るものは大きいと思う。次に向けて頑張りたい」と大谷。苦渋の全てを受け止めて、次に進むしかない。 (柳原 直之)

 ≪今年の投手・大谷≫

 ▽2月1日 米アリゾナでの春季キャンプ直前に、WBCでの投手辞退を発表。昨季終盤に右足首を痛めた影響と説明。

 ▽3月12日 千葉・鎌ケ谷の室内ブルペンで軽めの投球練習を再開。

 ▽同31日 西武との開幕戦に「3番・DH」で出場。試合前にはブルペンで30球。

 ▽4月8日 オリックス戦で一塁への走塁中に左太腿裏の肉離れ。全治6週間の診断。

 ▽6月8日 座った捕手相手の投球練習を開始。

 ▽同13日 故障後初めて18.44メートルの通常距離から投球。

 ▽同27日 ソフトバンク戦で打者として1軍復帰。代打で三振。

 ▽7月1日 イースタン・リーグ西武戦で投手復帰。初球は157キロで1回1安打1失点。

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