大谷 極めた二刀流 スライダー主体で圧巻15K&10勝締め

[ 2016年9月29日 05:30 ]

<西・日>完封で優勝を決めた日ハム・大谷はガッツポーズして喜びを爆発させる

パ・リーグ 日本ハム1―0西武

(9月28日 西武プリンス)
 初回に直球7球、スライダー2球の計9球で3者凡退。日本ハム・大谷は確信した。「相手がスライダーを嫌がっている」。早いカウントから直球を狙われ、スライダーを見逃されたからだ。スライダー主体のプランを、最後まで実行した。

 リードした大野も、スライダーの好調ぶりを見て決断。「決め球、カウントを取る球、全て(リードに)応えてくれた」という。5回1死まで完全投球。森に右前に初安打を許したが、そこから5者連続でマークするなど15三振を奪った。外野に飛んだ打球はわずか3つだけだった。

 飽くなき向上心が大谷を支えている。昨季は最多勝など3タイトルを獲得しながら、オフに動いた。「もう一つ高いパフォーマンスを探したかった」と球団の背番号11の先輩・ダルビッシュ(レンジャーズ)と合同トレーニングを行い、初めて体重100キロに到達。強さを増した肉体が驚異的な活躍の土台になった。栄養やトレーニングに関して質問攻めにし、シーズンに入っても連絡を取り続けていた。

 21日、ソフトバンク戦での天王山に登板した経験も生きた。「冷静だった。ソフトバンク戦とは真逆。いいあんばいで自分を制御しながら投げることができた」。前半戦終盤に右手中指のマメをつぶし、以降約2カ月間、先発から遠ざかった。前回登板で右手人さし指のマメがつぶれかけたが、投球練習以外では右手にテーピングし乾燥を防ぐ「湿潤療法」で優勝を決める大一番に備えた。

 「優勝を決められる場面で最後まで投げられるのは、成長できる要素」と大谷。最後の打者・外崎への2球はいずれもスライダーだった。この日は最速159キロ。160キロが一球もなくても、進化とさらなる可能性を見せつけるマウンドだった。
  (大林 幹雄)

 ≪95年ヤクルト・ブロス以来15人目≫大谷(日)が1安打完封でチームの優勝を決めた。優勝決定試合の完封勝利は95年ヤクルト・ブロス以来15人目、パでは86年西武・工藤以来3人目。1安打完封勝利は43年巨人・藤本英(5四球)以来2人目の快挙。またスコア1―0で優勝決定は91年広島と00年ダイエー(ともに継投)に次ぎ3チーム目で1人で1―0完封は大谷が初めてだ(プレーオフを除く)。

 ≪10勝&20本≫大谷が9連勝で3年連続2桁の10勝目。今季の大谷は打っても104安打、22本塁打。2桁勝利と100安打を同一年に達成は49年野口二(阪急=10勝、109安打)以来4人目(5度目)で、2リーグ制後初めて。また2桁勝利と2桁本塁打は14年の自身に次ぎプロ野球2度目。「10勝&10本塁打&100安打」と「10勝&20本塁打」はプロ野球、大リーグでも一人も達成していない空前の記録となった。

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