栗山采配の“変わらぬ信念”と“変わる勇気” 石井一久氏が語るハムの強さ

[ 2016年9月29日 08:45 ]

<西・日>感極まり目を赤くする栗山監督
Photo By スポニチ

パ・リーグ 日本ハム1―0西武

(9月28日 西武プリンス)
 大谷の二刀流を代表するように、日本ハム・栗山監督の選手起用は、よく「過去の常識にとらわれない」と表現されるが、決してひらめきや思いつきではなく、チームがどうすれば機能するかを常に考えていると思う。将棋に例えれば、飛車や角だけでなく、香車や桂馬も、全ての駒がスムーズに動けるように手を打っていく。

 通常、監督は安定した戦いをするために、できるだけ同じオーダーでシーズンを戦いたい。セ・リーグを制した広島はその典型。しかし栗山監督はその時、その時の状況を見て、「その日勝つためのオーダー」を組む。陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)は7つの打順をこなし、中島や岡は上位を打つことも下位を打つこともある。一方で、軸である中田だけは4番から動かさない信念もある。

 攻撃にバリエーションがあると打線全体としてのスランプは少ない。しかも、選手の役割がはっきりしていて、足やバントも使える。その中で逆転Vの陰のMVPを挙げるとすれば、7月以降はほぼ1番に固定された西川。25日に途切れるまで45試合連続出塁で打線を活性化させた。

 栗山采配は、変わることを恐れない。守護神だった増井の先発転向もその一つ。起用法に百発百中はない。実際、吉川の抑え起用は成功したとは言えないが、失敗覚悟でチャレンジし「プラス」の成果を生み出している。それは選手とのコミュニケーションが取れているからこそできること。球場を離れていても、常に野球のことを考えアンテナを張り巡らせているのだろう。(スポニチ本紙評論家)

続きを表示

この記事のフォト

2016年9月29日のニュース