オコエ12球団高卒唯一の1軍 開幕デビューへ「必死」

[ 2016年3月24日 05:43 ]

左中間の低いフェンスでファインプレーをイメージするも勢い余ってネットに落ちるオコエ

 プロ野球は25日、セ、パ両リーグが開幕する。楽天のドラフト1位・オコエ瑠偉外野手(18)は23日、12球団の高卒新人で唯一の開幕1軍入りが正式決定。この日は改修されたコボスタ宮城で初めて全体練習を行い、フリー打撃では3本の柵越えを放った。梨田昌孝監督(62)はソフトバンクとの本拠地での開幕3連戦でデビューさせる方針を示している。野球賭博など暗い話題ばかりの球界に、18歳が新風を吹き込む。

 2月1日の春季キャンプから50日以上の長期遠征を終え、今季初めてコボスタ宮城で行われた全体練習。約30億円をかけて大改修した本拠地に足を踏み入れたオコエは、雰囲気を存分に味わった。緑の天然芝、全面LED化されたスコアボード…。1月の新人合同自主トレ期間中は工事中だっただけに「球場は雰囲気がめっちゃ良かったです」。約4時間の練習を終えると、トレードマークの笑みがはじけた。

 この日、高卒新人ではただ一人の開幕1軍が正式に発表された。もちろん、球団としては史上初。フリー打撃では岡島とともに先頭の組に入り、3スイング目でいきなり左中間席まで運んだ。「新コボスタ1号」は18歳のバットから生まれた。計3本の柵越え。守備では1メートル65まで低くなった左中間のフェンスによじ登って距離感を確認した。「開幕に向けて必死なので、少ないチャンスを生かせるようできる限り練習するだけです」と静かに闘志を燃やした。

 オープン戦では勝負強さを発揮したものの開幕戦はベンチスタートが濃厚。それでも梨田監督は「せっかくだから本拠地でデビューさせてあげたい。東北のファンにお披露目できたら」と話す。オコエは走塁と守備に定評があるだけに、試合展開次第では、開幕戦から代走や守備固めでデビューする可能性も十分ある。

 オコエ自身は初の開幕戦を2日後に控え「テンションが上がるというよりは緊張感がある」と表情を引き締めた。開幕カードは野手17人で迎えるが、登板順が遅い先発投手が順を追って登録されるため、2カード目以降は少なくとも野手1人は2軍落ちする。限られた出番で存在感を示さなければならないからだ。

 午前には仙台市の大崎八幡宮で必勝祈願が行われ、参列した星野仙一副会長も「チャンスが与えられたところであいつらしいプレーをすればいい」と期待。その一方で「ここからが大変。1つ目のドア、2つ目、3つ目とドアをこじ開けていかないと」とプロで活躍する厳しさも説いた。

 「プロは甘い世界でない。レベルアップしていきたい」とオコエ。2年連続日本一の王者・ソフトバンク相手に出番を待つ。(徳原 麗奈)

続きを表示

この記事のフォト

2016年3月24日のニュース