中田 天井二塁打「誰もボール持ってない」から何かヘン

[ 2012年7月21日 06:00 ]

<全パ・全セ>3回無死、全パの中田は高々と飛球を打ち上げる

オールスター第1戦 全パ1―4全セ

(7月20日 京セラD)
 打球が消えた。そうとは知らず、全パの中田(日本ハム)は一塁ベースを蹴った。二塁へ差し掛かると、どうも周りの様子がおかしい。左翼手の高橋由は手を広げ、三塁手の宮本は天井をア然と見上げている。

 「誰もボール持ってないので。あれ?入ったのかなと。審判(福家二塁塁審)にツーベースだと教えてもらった」

 3回だ。先頭打者でヤクルト・館山の139キロ直球を強振。「芯でしっかり捉えた」打球は高く舞い上がり、そのまま約60メートルの高さがある京セラドームのスーパーリング(7層からなるリング状の天井)の内側に入ってしまった。特別ルールによって二塁打と判定された驚がくの一打。中田のパワーを夢の舞台で見せつけるには十分すぎる「天井二塁打」だった。

 1死後、陽岱鋼の右飛でタッチアップ。果敢な走塁で三塁を陥れた。栗山監督から求められているものを、その目の前で見せた。今季はオープン戦から全試合フルイニング出場。チームでは陽岱鋼と二人だけだ。「翔(中田)は日本球界を代表する選手にならなくてはいけない」という栗山監督の考えからで、打って走って守れる主砲を目標に設定。だからお祭りでも走塁に手を抜かない。「出してもらってる以上、できることはしっかりやろうと思ってた」

 そんな中田にとってWBC不参加表明は複雑だった。「決まったことは仕方ない。でも、(出たい)気持ちはみんなあると思います」。短い言葉に込めた思い。侍ジャパン入りを目標に定め、尊敬するダルビッシュ(レンジャーズ)と再び同じユニホームでプレーすることを夢に描いてやってきた。その舞台が失われるかもしれない。複雑な思いを胸の奥にしまい込んでこう言った。

 「楽しくやらないとファンにも失礼」。あと2試合、中田は夢の球宴をとことん楽しむ。

 ▽京セラドーム大阪特別ルール 打球がフェア地域内にあるスーパーリングの内側に入り落下しない場合はボールデッドとして、打者及び走者には投球当時を基準にして二個の安全進塁権が与えられる。

 ▼全パ・秋山監督(陽岱鋼や中田の安打は良かったが)その後が打てなかった。あす(第2戦)は出ていない人が出る。(打順などは)何も決まっていない。なかなか大変なんだよ。(力勝負が見られたが)まあオールスターだしな。

続きを表示

2012年7月21日のニュース