ノリ 斎藤から5階席弾「松坂からのサヨナラ弾に匹敵」

[ 2012年7月21日 06:00 ]

<全パ・全セ>2回1死一塁、逆転となる左越え2ランを放った全セ・中村(左から2人目)はナインに出迎えられる

オールスター第1戦 全セ4―1全パ

(7月20日 京セラD)
 マツダオールスターゲーム2012は20日、京セラドーム大阪で第1戦を行い、全セが4―1で全パを下した。8年ぶりの出場となったDeNA・中村紀洋内野手(38)が代名詞のフルスイングで、2回に日本ハム・斎藤佑樹投手(24)から特大の逆転2ラン。11年ぶりのMVPを獲得した。通算成績は全セの72勝77敗9分け。第2戦は21日に松山市の松山中央公園野球場で行われる。

 お立ち台の中村の目が一瞬、潤んだ。8年ぶりに帰ってきた夢舞台。しかも故郷・大阪、かつての本拠地・京セラドームだ。11年ぶりのMVPにスタンドから「お帰り~!」の声が飛んだ。

 「全球フルスイングしようと思って打席に入ったらバットに当たりました。京セラドームで、また元気な姿を見せられて良かったです」

 誰よりも大きな歓声を浴びて打席に立った。近鉄時代の応援歌も流れた。2回1死一塁。全盛期をほうふつさせる打球が左翼5階席で弾んだ。「交流戦でも対戦がない佑ちゃん(斎藤)。開き直っていった」。初球。打った直後に右手を突き上げた。飛距離145メートルの逆転2ランは通算5号。スタンドはどよめいた。浩子夫人と愛娘たちが見守る中、史上5人目となる両リーグでの本塁打に「僕を育ててくれた球場で打てた。投票してくれたファンに感謝したい」としみじみと言った。

 前回MVPを獲得したのは11年前のことだ。01年第3戦で全パの4番として3試合連続本塁打を放った。当時からフルスイングは代名詞。「セの4番の松井君が先に打ったから、打ち返せてホッとしたことを覚えている」。近鉄の主砲だった同年は絶頂期。優勝目前の9月24日の西武戦(京セラドーム)では「一番の思い出」という松坂(現レッドソックス)からサヨナラ弾を放った。自己最多46本塁打をマークし、打点王も獲得した。

 自らを「中村紀洋というブランド」と評したが、その後待っていたのは波瀾(はらん)万丈の野球人生。05年はドジャースに移籍したが、わずか17試合の出場に終わった。06年の日本球界復帰以降は2度の自由契約を経験。オリックス、中日、楽天と渡り歩き、昨年5月に横浜に入団した。頂点を知る男が味わったどん底。それでもフルスイングにこだわり、今季は新球団DeNAの主軸として復調。そして慣れ親しんだ球場で復活をアピールした。

 「松坂からのサヨナラ弾に匹敵する、印象深い一発になった」というベテランは、24日に39歳を迎える。満身創痍(そうい)の体で、特に今季5度も痛み止めの注射を打った左膝はボロボロ。「麻酔代わりに酒を飲まないと眠れない」という。久々の晴れ舞台。中村は試合前の一塁守備で近鉄カラーの赤と金色を基調にした球宴用の真新しいファーストミットを使用した。「周りはほとんど若い人なので、邪魔にならないようにします」と言ったが、その存在感は際立っていた。

 ◆01年9月24日近鉄―西武戦での中村の本塁打 5―6で迎えた9回2死一塁、松坂から右中間へサヨナラ45号2ラン。5回にはローズが日本タイ記録となる55号ソロ。8人継投が実った近鉄は優勝マジックを1とし、当時の梨田監督は「歴史に残る1勝」と語った。

 ≪セ、パでMVPは史上5人目≫全セの中村(D)が近鉄時代の04年以来、球宴通算5本目の本塁打。過去4本はいずれも全パで打っており、97年清原(巨)以来15年ぶり5人目の両リーグ本塁打を達成した。また、DeNAでは00年第1戦のローズ(当時横浜)以来となる一発。現12球団で最も本塁打から遠ざかっていたが、12年ぶりの本塁打になった。

 MVPは近鉄時代の01年以来11年ぶり2度目。セ、パでMVPは落合(ロ、巨)、清原(西、巨)、新庄(神、日)、山崎(中、楽)に次ぎ史上5人目の快挙だ。また、11年ぶりの受賞は、77年王(巨)の14年ぶり、74年張本(日)、95年落合(巨)の各12年ぶりに次ぐ長期ブランクになった。

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2012年7月21日のニュース